海宝直人、『らんまん』小林一三はぴったりの役どころ? ミュージカルなどで培った実力

 連続テレビ小説『らんまん』(NHK総合)の第115話に、海宝直人が演じる実業家・小林一三が初登場した。寿恵子(浜辺美波)が営む待合茶屋「やまもも」にやってきた小林は、後の阪急電鉄を創業する人物がモデルと思われる。歴史的大物の登場にSNSは大いに盛り上がりを見せた。

 この小林を演じた海宝直人にも注目が集まっている。普段は舞台やミュージカルで目覚ましい活躍を見せる海宝だが、朝ドラではこれまでに『エール』(NHK総合)にも出演。オペラ歌手の伊藤幸造を演じ、ドラマ内では「ラ・ボエーム」のロドルフォとして美声を響かせた。伊藤は、東都音楽学校首席、全日本声楽コンクール1位、全日芸術賞最年少受賞という華麗な経歴を持つ、海宝にふさわしいキャラクターだ。今回演じる小林のモデルは私鉄経営モデルの先駆者である一方で、宝塚歌劇団を作った人物でもある。日本の演劇界に多大な影響を与えた小林もまた、海宝にとってはぴったりの役どころだと言えよう。髭を蓄え、相島(森岡龍)と熱く仕事について話し合う姿は印象的。会話の中でも海宝の声はひときわ透明感を持って響く。鉄道事業についての希望を語る小林は、凛とした声も相まって頼もしくカッコいい。

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 そんな海宝もまた、『らんまん』で活躍する神木隆之介や濱田龍臣と同様に幼少期から子役として活動。初舞台を踏んだのはなんと7歳の時で、劇団四季のミュージカル『美女と野獣』のチップ役であった。子役時代の海宝の活躍で特筆したいのは、やはり劇団四季ミュージカル『ライオン・キング』でのヤングシンバ役だろう。海宝は初代ヤングシンバの一人であり、ヤングナラ役を演じる姉の海宝あかねと姉弟出演していたことからも、当時の観劇ファンから注目を浴びていた。その後は1999年発売の劇団四季版『ライオン・キング』のサントラCDにて、ヤングシンバとして歌唱。幼少期からその類まれない歌唱力と魅力で高い評価を得る。

 その後も舞台やミュージカルへの出演を続け、2016年には『ライオン・キング』で今度は主演である青年期のシンバ役に。ヤングシンバを務めた俳優がシンバ役として帰ってくるというのは世界初であることから、このエピソードもまた海宝のミュージカル俳優としての実力を感じさせるに十分だろう。海宝は劇団四季所属の俳優ではないながらも、劇団四季作品に外部キャストとして参加を続け、『ノートルダムの鐘』、『アラジン』でもそれぞれ主役として活躍してきた。

 ミュージカルでの活躍が多い海宝だが、『異世界居酒屋「のぶ」Season 3 〜皇帝とオイリアの王女編〜』(WOWOW)のアウグスト役など、定期的に映像作品にも出演している。さらに『FNS歌謡祭』(フジテレビ系)など音楽番組でも、その美しい歌声を披露してくれる機会が増えた。俳優、歌手、声優、そしてロックバンド「CYANOTYPE (シアノタイプ)」のボーカルとしても活動をしていることから、この先もますます活躍の場は広がることだろう。2024年には、ミュージカル『この世界の片隅に』で北條周作役を演じることが決まっている海宝。このあとも舞台・ミュージカル、そしてテレビドラマや歌番組と、様々な場所でその麗しい声を聞かせてほしい。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『らんまん』【全130回(全26週)】
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:神木隆之介、浜辺美波、志尊淳、佐久間由衣ほか
作:長田育恵
語り:宮﨑あおい
音楽:阿部海太郎
主題歌:あいみょん
制作統括:松川博敬
プロデューサー:板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久
演出:渡邊良雄、津田温子、深川貴志ほか
写真提供=NHK

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