『らんまん』“寿恵子”浜辺美波が夢を叶えるために向かう場所 渋谷の歴史と発展を振り返る

浜辺美波が向かう渋谷の歴史と発展を振り返る

 円山町が花街として発展したきっかけが、作中でも名前が出てきた「弘法湯」という共同浴場。渋谷駅開業から2年後、弘法湯の隣にできた旅館兼料亭が大当たりしたことを機に、料亭や置屋が軒を並べる場所となっていったのである。さらには、現在の代々木公園や国立代々木競技場、NHK放送センターがある広大な土地に陸軍の訓練施設である「代々木練兵場」ができたことも発展の一端に。練兵場の将校たちが花街に足を運び、円山町はどんどん賑やかな場所になっていった。それを見越して、岩崎弥之助(皆川猿時)は知り合いが所有する空き家を120円で譲るという話をみえに持ちかけてきたのだ。

 とはいえ、まだ当時の渋谷は発展途上で、渋谷川の周りには田園や茶畑が広がっていた。寿恵子のモデルになった牧野壽衛はその頃に渋谷へ降り立ち、夫である牧野富太郎の研究と家計を支えるために円山町で待合茶屋を開業させており、その過程が本作でも描かれるとみられる。

 第二次世界大戦下では、東京大空襲で渋谷も深刻な被害を受けることに。焼け野原となった渋谷では駅周辺にヤミ市が出現し、徐々に復興を遂げていく。さらに、1964年に開催された東京オリンピックを契機に新たな商業地として注目されることになった渋谷。近年は100年に1度とも言われる一大開発でさらなる進化を遂げており、新型コロナウイルスの影響で一時期は遠のいていた人々の足も戻りつつある。渋谷駅前のスクランブル交差点は1日に最大約50万人が通行するというのだから驚きだ。だが、そこはかつて静かな村落で人の数もまばらな田舎だった、ということを寿恵子の冒険を通して少しでも知れたらいい。

参照

・https://chintai.infonista.jp/area/tokyo/shibuyaku/column/history
・https://shibuya-city-record.tokyo/citystory/article/article-001/
・https://shibuya-city-record.tokyo/citystory/article/article-004/

■放送情報
NHK連続テレビ小説『らんまん』【全130回(全26週)】
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:神木隆之介、浜辺美波、志尊淳、佐久間由衣ほか
作:長田育恵
語り:宮﨑あおい
音楽:阿部海太郎
主題歌:あいみょん
制作統括:松川博敬
プロデューサー:板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久
演出:渡邊良雄、津田温子、深川貴志ほか
写真提供=NHK

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