『イコライザー THE FINAL』北米No.1 『オッペンハイマー』は2023年の世界興収No.3に
北米の映画館業界は、いよいよ新型コロナウイルス禍からの完全復活を遂げつつある。2023年サマーシーズンの北米累計興行収入は、コロナ禍以降、初めて40億ドルを突破する見込み。デンゼル・ワシントン主演の人気シリーズ最新作『イコライザー THE FINAL』も、事前の予想を超えるスタートを見せ、9月1~3日の週末ランキングで見事No.1を飾った。
元CIAエージェントのロバート・マッコールが、世の悪を完全抹消する“イコライザー”として戦うシリーズも、いよいよ堂々の完結を迎える。過去2作に続いてアントワーン・フークア監督が手がけた第3作は、舞台をイタリアに移し、ダコタ・ファニング演じる捜査官エマ・コリンズも新たに加わった。
本作は3日間で3450万ドルを記録し、祝日のレイバーデー(労働者の日)である9月4日(月曜日)を含む4日間では4200万ドルを稼ぎ出す想定。当初は4日間で3000万ドル規模とみられていたため、予測を大幅に上回る初動となった。レイバーデーのオープニング成績としては、マーベル映画『シャン・チー/テン・リングスの伝説』(2021年)に次いで歴代第2位。今後どこまで数字を伸ばし、夏の映画興行を後押しできるか。
これまで『イコライザー』シリーズは、2014年の第1作が3413万ドル、2018年の第2作が3601万ドルの初動を記録。すなわち『イコライザー THE FINAL』は3日間でもシリーズ史上最高の数値で、全米映画俳優組合(SAG-AFTRA)のストライキのため、ワシントンがプロモーションに参加できないハンデをも見事に乗り越えたことになる(逆に言えば、もしワシントンがプロモーションに登場していればそれ以上の成績を叩き出していたことになりそうだが)。
ヒットの要因とみられるのは、批評家・観客の高評価が生んだ口コミ効果だ。Rotten Tomatoesでは批評家スコア75%・観客スコア94%と、ともにシリーズ最高の数字を達成。観客の出口調査に基づくCinemaScoreでも「A」評価となった。すでに海外市場でも2610万ドルを記録し、世界累計興収は6810万ドル。日本では10月6日公開だ。
2023年の夏は、『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』や『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』、実写版『リトル・マーメイド』、北米で賛否まっぷたつとなった『Sound of Freedom(原題)』など多くのヒット作に恵まれた。『ザ・フラッシュ』や『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』の苦戦は予想外だったが、同じく想定外の大ヒットもあったのだ。
特に大きな盛り上がりを見せたのは、「バーベンハイマー」として話題を呼んだ、『バービー』とクリストファー・ノーラン最新作『Oppenheimer(原題)』の2本だった。『バービー』は2023年の北米・世界興収でともにNo.1に輝き、『Oppenheimer』も北米興収3億1027万ドル、世界興収8億5298万ドルを記録。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』を抜いて2023年の世界興収No.3となった。中国でも好調な滑り出しで、9億ドル突破の可能性もあるという。