Netflix実写版『ONE PIECE』最速レビュー 作品を底上げするキャスト陣の真摯な演技

 そして何より、メインキャラクターをはじめとするキャスト陣が素晴らしいのだ。特に新田真剣佑演じるゾロはアクションシーンの殺陣、体の重心の使い方も含め本当に完成度が高く、見応えがある。どうしても悪魔の実の能力を実写化する上でCGに頼らざるを得ないアクションにおいて、彼の動きはシーン全体に説得力を持たせていた。

 ナミを演じるエミリー・ラッドの存在感も良い。もともと原作でナミは “非現実的な”スタイルの女性として描かれている。女性キャラクターに限らず、男性キャラクターも非現実的な筋肉量、大きさで描かれているのが印象的だが、ラッドの体現するナミは、ものすごく背が高くて、ものすごくウエストが細くて、ものすごく足が細長いわけでもない。漫画やアニメと違い、実写版で彼女を地に足のついた“現実的な”女性として描いたことは、重要な選択だったように感じる。

 サンジ役のタズ・スカイラーが披露する足技も素晴らしい。チャーミングで、真剣な時は真剣。真剣佑と同じように自身の役が得意とする動きやアクションに責任を持った演技が印象的だった。ウソップ役のジェイコブ・ロメロ・ギブソン含め、「麦わらの一味」を演じる俳優陣の真摯な表現力が物語の印象を底上げし、力強いものにしている。何より “道化のバギー”役のジェフ・ウォードの演技が素晴らしすぎて「バラバラの実」による能力を披露するアクションシーンがなくても、ただ彼が話しているシーンだけでずっと観ていられるかのようなキャラクターとしての完成度の高さ、カリスマ性を感じた。

 シーズン1の物語はナミの過去が明かされる「アーロンパーク編」まで描かれる。アーロンをはじめとする魚人の特殊メイクの精巧さにも注目していただきたいが、原作と時系列的に前後して繰り広げられるルフィとガープの対立を含め、ドラマオリジナル描写をどのように感じるか。彼らの出航をぜひ、その目で刮目していただきたい。

■配信情報
Netflixシリーズ『ONE PIECE』
Netflixにて全世界独占配信中
原作&エグゼクティブ・プロデューサー:尾田栄一郎
脚本&ショーランナー&エグゼクティブ・プロデューサー:マット・オーウェンズ、スティーブン・マエダ
キャスト:イニャキ・ゴドイ(モンキー・D・ルフィ)、新田真剣佑(ロロノア・ゾロ)、エミリー・ラッド(ナミ)、ジェイコブ・ロメロ(ウソップ)、タズ・スカイラー(サンジ)、ヴィンセント・リーガン(ガープ)、モーガン・デイヴィス(コビー)、 ジェフ・ウォード(バギー)、マッキンリー・ベルチャー三世(アーロン)、セレステ・ルーツ(カヤ)、エイダン・スコット(ヘルメッポ)、ラングレー・カークウッド(モーガン)、ピーター・ガジオット(シャンクス)、 マイケル・ドーマン(ゴールド・ロジャー)、イリア・アイソレリス・ポーリーノ(アルビダ)、スティーヴン・ウォード(ミホーク)、アレクサンダー・マニアティス(クラハドール)、クレイグ・フェアブラス(ゼフ)、チオマ・ウメアラ(ノジコ)
©尾田栄一郎/集英社

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