『るろうに剣心』斉藤壮馬×高橋李依×小市眞琴×八代拓が語る、役の“再構築”にかける情熱

 新作TVアニメ『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』が、フジテレビのノイタミナ枠ほかで放送されている。『るろうに剣心』といえば、シリーズ累計7200万部を突破している原作コミックスを中心に、アニメ化から実写映画、さらにはミュージカルまで幅広い形でファンに愛されてきた。幕末に「人斬り抜刀斎」として恐れられた伝説の剣客・緋村剣心が、明治維新後に不殺を誓い、逆刃刀(さかばとう)を手に、仲間とともに人々を助ける姿を描く。

 新作TVアニメでは、最新のアニメーション技術で原作を第1話から再構築し、原作者・和月伸宏が自ら、キャラクターデザインやシナリオなど全編に渡って完全監修。今回は、主人公・緋村剣心役の斉藤壮馬、神谷薫役の高橋李依、明神弥彦役の小市眞琴、 相楽左之助役の八代拓に、新作TVアニメ『るろうに剣心』の魅力を語ってもらった。【インタビューの最後には、サイン入りチェキプレゼント企画あり】

それぞれの『るろうに剣心』との出会い

――これまで漫画、アニメ、OVA、ミュージカル、小説、実写映画と様々な形で描かれてきた『るろうに剣心』ですが、みなさんの人生における“るろ剣”との出会いをそれぞれ教えてください。

斉藤壮馬(以下、斉藤):僕は小学生の頃に、最初のアニメーションを観て、その後に原作漫画という順序で出会いました。アニメーションはリアルタイムではなくて、レンタルショップでVHSを借りて観ていました。明確なきっかけが何だったのかは定かではないのですが、子供心にもかっこいいアクションと魅力的なキャラクターの数々に強く惹かれて。コミックスは、家族でよく行っていた近所の定食屋さんに置いてあったものをよく読んでいましたね。我々家族にとっては、るろ剣でいう「赤べこ」的な定食屋さんで。そこでコミックスの『るろうに剣心』に出会いました。

高橋李依(以下、高橋):私の場合は、実写作品から入りました。地元の女子みんなで、「佐藤健さんカッコいい!」って、ワイワイ盛り上がってたなぁ。

小市眞琴(以下、小市):私は、歳の離れた兄がコミックスを持っていたことが、作品を知ったきっかけです。私が物心ついたときには、もう原作が家にあったんです。なので、出会ったというよりは、気づいたら側に『るろうに剣心』がある環境でした。

八代拓(以下、八代):僕も(小市に)似てるかもしれない。僕らのお兄ちゃん・お姉ちゃんの世代といえば、もう間違いなく『るろうに剣心』をみんな知ってたもんね。友達の家に遊びに行ったときに、その友達のお兄ちゃんお姉ちゃんが持ってた漫画を読ませてもらったりとか。これといったきっかけがなくても、気づけば出会っていた感じはあります。昔、「『週刊少年ジャンプ』のキャラ大集合!」系のゲームにハマってて、ゲームの中で剣心を使ったりもしていました。『るろうに剣心』は当時から、本当に身近な存在でした。

――出会った当時の作品への印象はいかがでしたか?

斉藤:キャラが非常に魅力的なのはさっきもお話したところなのですが、あとは出てくる技がとにかくカッコいい。バトルものに熱い心をたぎらせている少年としては、魅力的なキャラクターがカッコよく、物語という点でシンプルに好きだなと思っていました。

高橋:時代ものの印象が大きかったです。最初に実写から入ったこともあり、風景や街並みの空気感みたいなものをダイレクトに感じていまして。(街が)燃え盛っている景色とかも印象深いです。

小市:当時の印象としては、「お兄ちゃんが好きな、なんかカッコいい人たちが出てくる作品」(笑)。確かにコミックスは家にあったんですけど、実はそこまでしっかり読んだことはなかったんです。この作品に関わらせていただくにあたって、初めてしっかり原作を読ませていただきました。

八代:当時、作品に対して「剣心が主人公っぽくないな」って思っていて。当時の主人公って、個人的に触れてきた作品では猪突猛進で熱く拳で語るキャラクターが多かったから。だから剣心の人柄はやっぱり特別で、それが印象に残っていました。今改めて読み返しても、唯一無二の主人公像だなと感じます。

――今回は新作アニメとして再構築という視点を踏まえて、ご自身が演じるキャラクターの声の演技で意識したポイントはありますか?

斉藤:1人の原作好きとしての剣心像が自分の中にありました。ただ、自分が今まで触れてきた剣心をただ上辺だけをトレースして真似をするのは、キャラクターにも作品にも、今までさまざまな形で剣心を演じられていた皆さんにも筋が通らない気がして。今回のオーディションはテープオーディションだったんですけど、もう原作を全部読み返して「今の自分が思う剣心を素直にやるしかない」と思いました。だから特に策を弄するのではなくて、自分が感じたものをかっこつけずに素直に表現しています。もちろん、役が決まった後の収録も同じです。

――斉藤さんは第1話のアフレコについて、「様々な方向性を試しながらの収録だった」とコメントされていました。

斉藤:『るろうに剣心』の中心人物を表現していくのであれば、全員が納得した状態で進めていきたいなという想いがあったんです。『るろうに剣心』が幅広い世代の方に長くにわたって愛されている作品だからこそ、「主人公である剣心という人物を今回どのように表現するか」という部分はかなり重要だなと思っていて。特に序盤の頃は色々なアプローチを試しながら、監督であったり、音響監督さんとみんなでディスカッションしながら解像度を上げていきました。

斉藤壮馬

高橋:オーディションの時から、原作を活かした作品作りだという意識はありました。オーディション台本に、原作の漫画のコマごと抜粋されていたんです。だから原作にある状況や表情みたいなところは、まず自分の中でベースにしました。それにオーディション抜粋シーンだけでも、薫って本当にいろいろな目に遭っていて……(笑)。だから、その状況だったり出来事との距離感を頭に入れつつ、自分なりのお芝居としても広く考えて落とし込んでいきました。そうしたら、結果、合格をいただけて。情報収集を本格的に始めたのは、実は受かったあとからだったりします。今まで神谷薫という人間と向き合ってきた皆さんは、どういった役作りをしてきたのか。改めてそこに向き合って、「自分が自信を持てるように情報を1回学んでいこう」という感覚です。

小市:私も、基本的に今までの方の(弥彦の)演技は全て見たくて。だからアニメはもちろん、舞台もチェックしたり。作品を観れば観るほど、全員にリスペクトできるところがあるからこそ、誰かの演技に絞りきるみたいなことはしたくないなっていうのを思い始めて。みなさんが共通で表現している弥彦の根っこの部分はしっかりリスペクトしつつ、自分の中での弥彦像を突き詰めていきました。

――小市さんの考える、過去の演者さんたちが受け継いできた“弥彦の根っこ”とは何だと思いますか?

小市:一番は、武士としての誇りですかね。

――弥彦は、まだ小さい体ながらに熱い魂を持っていますよね。

小市:そうなんですよ! 強い相手に対しても、去勢を張るのではなくて、怯えずに心からしっかりと相手と向き合って戦える子なんです。だからこそ、不器用ながらに成長していくところを表現していきたいとは思っていました。

――八代さんはいかがでしょう?

八代:まずは皆さんがおっしゃったように、これだけたくさんのメディアミックスがなされてる作品なので、過去の作品全てに敬意を込めて演じました。僕、相楽左之助という人間が本当に好きで。彼って、カッコいいじゃないですか。でもだからこそ、その気持ちだけで演じてしまうと、きっと「相楽左之助にこうあってほしい」という思いが先走ってしまうような気がして。それだと彼の魅力を演じきれない気持ちがあったので、ちゃんと彼の心の柔らかい部分を受け止めてみようと思ったんです。「まだ10代の若者で、過去には少し道も踏み外した」「剣心とは10個近く年齢も違って、実力差もはっきりとある」みたいな部分も含めて、しっかりとその役作りの上でもう一度彼の弱さの魅力も演じていこうと意識していました。

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