『ヒップタッチの女王』コメディかミステリーか? ハン・ジミン&イ・ミンギが名コンビに

『二十五、二十一』の30年後!?

 ドラマが配信されるやいなや、話題になったのは、ドラマ『二十五、二十一』のパロディシーンだ。しかもイェブンとジャンヨルが演じるのではなく、イェブンの叔母、ヒョンオクとジャンヨルの上司・ジョンムクが、それぞれキム・テリとナム・ジュヒョクの役を演じるのだから笑ってしまう。

 オマージュされたのは、キム・テリが演じるナ・ヒドとナム・ジュヒョクが演じるペク・イジンが夜の体育館でフェンシングをやるシーンと学校の校庭で水道の水を噴水のように出してはしゃぐシーンだ。

 『二十五、二十一』の30年後という設定で挑むヒョンオクとジョンムクが、本家とは似ても似つかない(といったら失礼か)雰囲気で完コピを目指しているところが面白い。特に水道のシーンではしっかりオチがついて、30年前、常にヒョンオクに振り回されていたジョンムクの悲哀が描かれ、申し訳ないと思いつつも大爆笑してしまった。

 この2人に『二十五、二十一』のパロディを演じさせた監督のセンスは素晴らしいと思うし、ドラマの中で2人は見事に存在感を見せている。これがドラマの展開にどう影響していくのか、最後までお笑いで終わってしまうのか、気になって仕方がない。

 そしてイェブンの親友で、けんかが強くムジンにたくさんの子分を持つぺ・オクヒも強烈なキャラクターの一人だ。ムジンで最強の人脈を持つ彼女は子分たちに慕われており、何か問題が起きると子分を集めて情報収集させる力は、政治家並みだ。

 「オンニ(姉御)!」と呼ぶ子分たちの中に、一人だけ子分の兄が混じっている。本来「オンニ」は、年下の女性が年上の女性に対して呼びかける言葉だが、明らかにオクヒよりも年上に見える男性が「オンニ!」と呼んで命令に従う姿は、かなり笑える。「オンニと呼ぶな!」と怒鳴るオクヒとの掛け合いが、ドラマの良いスパイスになっている。

 そして最後の強烈キャラは、霊能力を失ってしまった霊能力者、パク・ジョンベ(パク・ヒョクグォン)だ。マッカーサー元帥が下りてくるという、訳の分からない霊能力者なのだが、不思議な能力を身に付けたイェブンを霊能力者にするべく、怪しげな儀式を執り行う。その時の2人の様子も爆笑ものだ。

 こうしてみると随所に笑いのシーンがちりばめられている。「ふざけすぎでは?」「笑いのツボにはまらない」と言う人もいるだろうが、そこは寛大な気持ちで純粋に楽しんでみてほしい。

不穏な動きを見せるイェブンの祖父

 お笑いシーンがたくさんあるものの、一方でミステリーを思わせるシーンもある。まずはムジンの国会議員、チャ・ジュマン(イ・スンジュン)とイェブンの祖父・ウィファンとの関係だ。表向きはジュマンを支持し、選挙応援もしているウィファンだが、時折見せるジュマンへの鋭い目つきが気になる。

 そんなジュマンの事務所から後援者の名簿が盗まれ、ジャンヨルが捜査にあたる。早速イェブンの力を利用すると、イェブンは祖父が事務所に入っていく姿を見てしまう。祖父の身に何が起きているのか分からず、ジャンヨルにはとっさに「何も見えなかった」と言うイェブンだが、一体祖父は何を隠しているのだろうか。

 そして第4話は、人気動画配信者の女性が拉致され、殺されそうになったところで終わっている。この女性は、イェブンの大学の後輩に拉致されたところを間一髪助けられたのだが、一体ムジンの町で何が起こっているのか。

 今後は笑ってばかりはいられない展開になっていきそうな本作。コメディなのかミステリーなのか、ますます目が離せなくなってきた。

■配信情報
『ヒップタッチの女王』
Netflixにて配信中
出演:ハン・ジミン、イ・ミンギ、スホ
原作・制作:キム・ソギュン、イ・ナムギュ、オ・ボヒョン、キム・ダヒ
(写真はJTBC公式サイトより)

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