『何曜日に生まれたの』一番の“ミステリー”はヒロインの心情? すいと公文の気になる関係

 ただ一つ分かっているのは、まだすいがトラウマを克服できていないということだ。江田に「彼氏がいる」と咄嗟に嘘をついてしまったことで、瑞貴から彼氏を呼んで4人で食事をしようと誘われたすい。公文に彼氏役を頼むも断られ、一人で参加するも、瑞貴が納得しない。おそらく瑞貴は江田が自分と結婚したことをすいに隠していたのが気に入らなかったのだろう。すいと彼氏が並んでいるところを江田に見せることで、彼の中に残る未練を断ち切るために今回の食事会を企画したのだ。

 そんな中、救世主のように現れたのは雨宮だった。事情を知ってか知らずか、すいを優しく気にかける雨宮。一方で、すいは高校時代に瑞貴にかけられた言葉を思い出す。瑞貴は雨宮との事故で周囲に冷たい視線を向けられていたすいに、「消えてほしいの。私と彼の前から」と追い討ちをかけるような言葉をかけたのだった。好きな人には「お前が死ねばよかった」と言われ、親友にもそんな言葉を浴びせられたすいはどれほど苦しかったか。徐々に荒くなるすいの息遣いだけがその辛さを私たちに伝えてくれる。だが今回、すいの過呼吸を一瞬で楽にする存在がいた。彼氏役を頼まれ、食事会に現れた公文だ。

 公文を見た瞬間、すいの表情は途端に柔らかくなる。変人でデリカシーのない公文だが、彼にはすいを落ち着かせる不思議な力があるのかもしれない。一方で、公文も作家としての興味もあるかもしれないが、簡単に紐解けないすいの感情に夢中になっている様子はある。「実は私も時々過呼吸になり、頭を撃ち抜いてうつ伏せになります」という丈治への告白もどこか真実味があり、すいと似た部分を感じさせる公文。作者である彼が登場したことで、すいの物語はどう展開していくのか。気持ちの読めないヒロインの、先が読めない物語にワクワクさせられっぱなしだ。

■放送情報
『何曜日に生まれたの』
ABCテレビ・テレビ朝日系にて、毎週日曜22:00〜放送
TVer、ABEMAにて、地上波放送終了後見逃し配信 
TELASA、U-NEXTにて、第1話~最新話まで見放題配信
出演:飯豊まりえ、溝端淳平、井上祐貴、YU、若月佑美、片山友希、濱正悟、早見あかり、シシド・カフカ、陣内孝則ほか 
脚本:野島伸司
企画・プロデュース:清水一幸
プロデューサー:南雄大、松原浩、柴田裕基、難波利昭
制作プロデューサー:奈良井正巳
演出:大塚恭司、岩本仁志、松原浩
音楽:福廣秀一朗
主題歌:The Hollies「Bus Stop」
制作著作:ABCテレビ
©︎ABCテレビ
公式サイト:https://www.asahi.co.jp/nanuma/
公式X(旧Twitter):@nan_uma_abc 
公式Instagram:@nan_uma_abc
公式TikTok:@nan_uma_abc

関連記事