まるで金子みすゞの有名な詩みたいなフレーズではあるが、「違うからいい」。これは恋愛でも友情でも、人間関係において全部に言えることではないだろうか。さて前回のラストで、健人（間宮祥太朗）から告白された夏海（森七菜）は、まだ健人との育ちや境遇の違いに悩みつつ、好意があることを認めながらも答えを出せずにいる。ようやくこの『真夏のシンデレラ』（フジテレビ系）は、メインカップルが前へと進みつつあるようだ。

　8月14日に放送された第6話での夏海と健人は、“告白の返事”にたどり着くまでの間、流しそうめんを食べてペルセウス座流星群を見るために虫除けスプレーを掛け合って、海岸でまんまるな月を見ながら“山崩し”に興じる。よく言えばほっこりとした、率直に言って相変わらずじれったい2人だが、メインカップルに動きが出てくれば、自ずと他の登場人物へも波及するものだ。今回はやはり、愛梨（吉川愛）を巡る修（萩原利久）と守（白濱亜嵐）の三角関係に生じた変化に触れないわけにはいかない。

　スタイリストへの昇格試験に落ちても引きずることなく、テキパキと仕事をこなしていく愛梨。それは前回、修がマーガレットの花束を携えて現れ、発破をかけてくれたからに他ならない。すると愛梨の働く店に、ふたたび修がやってくる。美容師の免許を持っているけれどまだ半人前という愛梨の境遇を、研修医である自分と同じだと重ね合わせる修。東京に戻った彼は、職場の病院で同僚の医師から“他人の気持ちを想像する”よう指摘される。そんななか修が帰宅すると、自宅のマンションの前で愛梨が待っているのである。

　本作の登場人物のなかでは随一の恋愛体質であろう愛梨（実際それを示す描写は乏しいのだが）と、まったくもって恋愛経験のない修。このカップルもまた、2人の違いがはっきりと浮き彫りになっている。とはいえ夏海と健人の場合は生まれ育った環境や学歴、貧富の差という外的な要因での文字通り“住む世界が違う”なのに対し、愛梨と修の場合は内面的な要因、すなわち“見えている／考えている世界が違う”ということなのかもしれない。どちらにおいてもどちらかが境界線を越えてしまえば話が早いわけだが、こうした主観的な部分に左右される方が厄介であり、とりわけ前述のように境遇が似ている2人だけによりドラマティックに映るものだ。