『パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉』放送前に前3作をおさらい 根底にある家族愛

 エンターテインメント大作である本シリーズでは、アクションシーンも大きな見どころの1つだ。特に海賊同士や各国の海軍がぶつかり合い、大人数が入り乱れる戦闘シーンにはハラハラさせられる。1作目では、「アステカの金貨」の呪いによって不死身になった海賊たちとの戦いで、月光のもとで彼らは本来の姿である骸骨となる。ジャックとバルボッサの戦いでは、お互いに月光の下では骸骨になり、明かりが遮られた場所では肉体を持つ姿になるという仕掛けも楽しい。シリーズを通してこうしたシーンの盛り上がりも、『パイレーツ』シリーズの醍醐味だ。『生命の泉』では、人魚が海賊船に襲いかかるシーンや、海賊と英海軍、スペイン海軍の三つ巴の戦いにも注目してほしい。『最後の海賊』では、冒頭でギロチンにかけられようとしているジャックをヘンリーたちが救う場面もコミカルかつハラハラするシーンとなっている。さらに同作でジャックらと熾烈な争いをくり広げるのは、かつてジャックに嵌められ、生ける亡霊と化したスペイン海軍のアルマンド・サラザール(ハビエル・バルデム)率いるサイレントメアリー号の面々だ。これまでにも不死身の相手と戦ったことのあるジャックたちだが、さらなる強敵と出会うことになる。

 また本シリーズでは、戦闘シーン以外のCGにも注目したい。1作目の骸骨の海賊たちも、2作目および3作目に登場する幽霊船フライング・ダッチマン号の面々も、グロテスクで不気味な姿をしている。苦手な人もいるだろうが、こうしたリアルな特殊メイクおよびCGも、ファンタジーとしての『パイレーツ』シリーズを盛り上げる要素となっているのだ。4作目では美しく凶暴な人魚の造形に目を奪われる。5作目に登場するサイレントメアリー号の亡霊たちは、青白くひび割れた皮膚と体の一部、あるいは腕以外すべてが欠けている不思議な外見で、かつてのブラックパール号やフライング・ダッチマン号の乗組員たちとはまた違った不気味さがある。

 『パイレーツ』シリーズは、メインキャラクターや彼らと対立する海賊や各国の海軍の面々など、個性的で魅力的なキャラクターが多数登場する。不気味な姿となった呪われた海賊たちは、案外呪いを解くことに無頓着だったりするのだが、そんな姿になっても欲望や恨みを胸に宿し、伝説の海賊ジャック・スパロウを狙う。CGや特殊メイクの技術を駆使して創り上げられた彼らの不気味な外見は、本シリーズの魅力を引き立てる。

 エンターテインメント性の高い『パイレーツ』シリーズだが、その根底には「家族愛」というテーマが流れている。特に今回『金曜ロードショー』で放送される『生命の泉』と『最後の海賊』では、それがわかりやすく提示されていることに気づくだろう。個性的で愛すべきキャラクターや迫力のアクションシーンを楽しみつつ、海賊たちの「家族愛」にも注目してほしい。

■放送情報
『パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉』
日本テレビ系にて、8月11日(金)21:00~23:19放送
※放送枠25分拡大
監督:ロブ・マーシャル
脚本:テッド・エリオット、テリー・ロッシオ
キャラクター原案:テッド・エリオット、テリー・ロッシオ、スチュワート・ビーティージェイ・ウォルパート
製作:ジェリー・ブラッカイマー
製作総指揮:マイク・ステンソン、チャド・オーマン、ジョン・デルーカ、テッド・エリオット、テリー・ロッシオ、バリー・ウォルドマン
プロダクション・デザイン:ジョン・マイヤー
音楽:ハンス・ジマー
出演:ジョニー・デップ、ペネロペ・クルス、イアン・マクシェーン、ジェフリー・ラッシュ、ケヴィン・R・マクナリー、キース・リチャーズ、サム・クラフリン、アストリッド・ベルジェ=フリスベ
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