『ばらかもん』心に築いた石垣がくれた自信 “守りたい”母親と“変わりたい”清舟の衝突も

 川藤の計らいで、なるたち島の子どもたちとビデオ通話した清舟は、一気に自分を取り戻していく。“書が書けない”ということよりも、とにかく一生懸命に今を生きている島の子どもたちの生命力に触れると、清舟の中でも打算が消え、活力が漲り、もっとシンプルな初心に立ち返れるのだろう。

 清舟がよそ者ではなくすっかり島に馴染んでいたように、彼にとって五島は期間限定の作業場なんかでは留まらず、“いつの間にか帰りたい場所になっていた”ことに気づく。島で見た景色やそこで出会った人との何気ないやり取りの一つ一つが、思い出のピースが、石垣の石のように清舟の中でぴったりとハマり、彼の核となる部分を積み上げて頑丈にしているようだ。ちょっとやそっとのことではもうブレたり崩れたりはしない。どんな台風や嵐が訪れようとも、ずっしりと構えていられる。

 清舟が書き残していった神社に掲示する島民全員の名簿一覧に、なるがマジックペンで「はんだ先生」と書き足したように、清舟は今の自分を構成している要素とも言える島民みなの名前を1枚の半紙にピタッと当てはめて書き、その書のタイトルを「石垣」とした。清舟が書いた名前がそれぞれの人となりをよく表現しており、各々の個性が発揮されていて活き活きしているのに何だかまとまりがある。それぞれが“そこにいていいんだよ”と互いの居場所を認め合っているかのような不思議なユニット感がある。さぞかしそのユニットの一員として過ごした月日が清舟にとって心地よく、かけがえのない時間だったのだろうことがよく伝わってくる。

 自身のスタイルを掴み、揺るがない石垣を築き上げ自信も得られた清舟は、五島行きを望むが、それを阻むのが母親のえみだ。

 次週、新章スタート。清舟は自身の殻を破ってさらに自由に羽ばたけるのだろうか。

■放送情報
『ばらかもん』
フジテレビ系にて、毎週水曜22:00~22:54放送
出演:杉野遥亮、宮崎莉里沙、田中みな実、綱啓永、豊嶋花、近藤華、山口香緖里、飯尾和樹、田中泯、荒木飛羽、中尾明慶、遠藤憲一
原作:ヨシノサツキ『ばらかもん』(ガンガンコミックスONLINE/スクウェア・エニックス刊)
脚本:阿相クミコ、金沢達也
主題歌:Perfume「Moon」(Polydor Records)
企画:上原寿一
プロデュース:髙丸雅隆、高橋眞智子
演出:河野圭太、植田泰史、木下高男、北坊信一
制作協力:共同テレビジョン
制作著作:フジテレビジョン
©︎フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/barakamon
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