『ばらかもん』心に築いた石垣がくれた自信 “守りたい”母親と“変わりたい”清舟の衝突も

 島民に何も告げず五島を去り、帰京した半田清舟(杉野遥亮)の東京でのその後が描かれた『ばらかもん』(フジテレビ系)第5話。

 清舟の島での成長ぶりは一目瞭然だったようで、彼がそもそも五島に行く原因にもなった美術館館長の八神龍之介(田中泯)はすぐにその変化を見抜く。何気ない一挙手一投足に清舟の人間的成長が滲み、真っ直ぐに謝罪する姿勢を見せたことで八神ともすんなりと和解したほどだ。

 さらに、八神は清舟の「星」の書を「君は見違えるほど面白い字を書くようになった」「大賞を獲ってもおかしくない作品」だと大絶賛する。しかし、五島での成長の証をいざ八神に見てもらうとなると、一気に弱気になってしまった清舟は、咄嗟に「これは試作品」だと、よせばいいのに嘘をつき保険をかけてしまう。結果、書道展に出展する作品に対する八神の期待値をさらに大きく膨らませてしまうことになり、清舟は自分で自分の首を絞めることになってしまう。

 18歳の書道家・神崎康介(荒木飛羽)が言う通り、島と似た環境を作れば良い字が書けるなんて安直すぎた。追い詰められた清舟はマネージャーの川藤(中尾明慶)や神崎に子どものような服を着させて、無理やり五島で琴石なる(宮崎莉里沙)をはじめ子どもたちに囲まれていた環境を再現しようとする姿は、涙ぐましくさえある。

 その無理のあるコスプレを目の当たりにし、清舟の母・えみ(長野里美)は五島で息子の身に起きた変化に懐疑的だ。第5話にして新登場したえみは、過保護ぶりや溺愛ぶりが伝わるような母親像で、清舟には東京にいてほしいようだ。確かになんだか悪気はなく、清舟の周りの環境を潔癖なまでに綺麗に整え、彼が転ぶ前に先に“石ころ”を取り除いてしまうところがある。清舟の五島行きはこの母親、そして父親・清明(遠藤憲一)にとっても子離れの良いタイミングだったのかもしれない。

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