『ハヤブサ消防団』連続放火&不審死の犯人は? 事件の影に潜むカルト教団の存在

『ハヤブサ消防団』連続放火事件の犯人は?

怪しさを漂わせる川口春奈と古川雄大

 現時点で怪しいと思われる人物が2人。太陽光発電企業「ルミナスソーラー」の営業スタッフである真鍋明光(古川雄大)と、東京からハヤブサ地区に移住してきた映像ディレクターの立木彩(川口春奈)である。

 ソーラーパネルの普及を目的にハヤブサ地区を回り、住民に太陽光発電用地として土地の売却を勧めている真鍋。自分のところにも営業に来た真鍋を怪しく思った三馬が住民への聞き取りを行ったところ、どうやら浩喜に関する噂の出どころは彼であることが分かってくる。しょっぱなから怪しすぎて逆に無実という可能性はあるものの、浩喜を貶めようとしていることだけは確かだ。

 彩は三馬と同様、都会のストレスから解放されるためにハヤブサ地区に越してきた。移住後は役場と協力して町おこしドラマ企画を立ち上げ、脚本執筆を依頼した三馬と徐々に親交を深めている。一方で、彼女は町長の村岡信蔵(金田明夫)にドラマの企画を却下されたにもかかわらず、その事実を三馬には告げていない。他にも、浩喜の水死体が上がった滝壺にシャクナゲの花束を投げ入れる、自宅マンションに現れた真鍋に対して怯えたそぶりを見せるなど、三馬には見えていない行動がかなりミステリアスだ。

 赤の他人ではなく、何らかの繋がりがあるとみられる真鍋と彩。彼らに共通するのは、元々は縁もゆかりもないハヤブサ地区に執着しており、そこで何らかの地位を確立しようとしていることである。もし2人が放火や浩喜殺害の犯人だとすれば、その目的は住民の排除と集落の乗っ取りにあるのではないだろうか。

目的は、住民の排除と集落の乗っ取りか

 また、この物語の一つの鍵となっているのがシャクナゲの花である。「危険、警戒」という花言葉を持つシャクナゲの花はこれまでに何度も作中に登場しており、かなり意味深だ。放火や浩喜の不審死について調べを進める三馬の自宅の郵便受けに、まるで警告のように投函されていたのも、前述した通り、彩が滝壺に投げ入れたのもこの花だった。

 さらに第3話では、三馬の自宅倉庫からシャクナゲの花を手に、穏やかに微笑む女性(小林涼子)のポートレート写真が見つかった。消防団員・藤本勘介(満島真之介)の祖母曰く、何十年も前に自ら命を絶った山原倫子という女性によく似ているという。ただ写真の年代的に、写っているのは倫子が妾としてハヤブサ地区で産んだ娘の展子であるという結論に現時点では至っている。

 そんな展子の写真を神棚に飾り、見上げていたのが彩とこの集落に住む初老の女性・映子(村岡希美)だ。映子は山で遭難した三馬がお化けと勘違いするほど異様な風貌で、これまで一切台詞がないにもかかわらず、強いインパクトを残してきた。初回の放送では、映子が数人の男女と山の上から太陽を望む場面もあり、どこかカルト宗教の様相を漂わせている。

 以上のことから考察すると、一つの可能性が見えてくる。それは展子が教祖となったカルト宗教の信者である映子、彩、真鍋がハヤブサ地区を拠点にしようと企んでいること。そのために、土着の宗教と結びつきが強い住民の排除に努めているという可能性だ。もしそうだとすれば、犯人は一人ではなく、複数の信者が結託して事件を起こしているのかもしれない。健作の自宅の防犯カメラにうつる人物が乗り込んだ車に消防団の帽子が置かれていたが、団員の中に信者が紛れている可能性も十分にあるだろう。

 消防団の重要性や菩提寺と檀家の結びつきなど、田舎の特徴を巧みに生かしたミステリー『ハヤブサ消防団』。物語が中盤に差し掛かり、そろそろ色々なことが見えてくる頃だと予想される。8月10日放送の第4話からも目が離せない。

■放送情報
『ハヤブサ消防団』
テレビ朝日系にて、毎週木曜21:00~21:54放送
出演:中村倫也、川口春奈、満島真之介、古川雄大、岡部たかし、梶原善、橋本じゅん、山本耕史、生瀬勝久、麿赤兒、村岡希美、小林涼子、金田明夫、大和田獏
原作:池井戸潤『ハヤブサ消防団』(集英社)
脚本:香坂隆史
演出:常廣丈太(テレビ朝日)、山本大輔(アズバーズ)ほか
ゼネラルプロデューサー:三輪祐見子(テレビ朝日)
プロデューサー:飯田サヤカ(テレビ朝日)、木曽貴美子(MMJ)、小路美智子(MMJ)
制作協力:MMJ
制作著作:テレビ朝日
©テレビ朝日

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