『転職の魔王様』岡崎紗絵が同世代の心情を代弁 成田凌と元恋人役でバトル
『転職の魔王様』を観て感じるのは、転職アドバイザーの仕事は、企業が求める人材をマッチングすることはもちろんだが、求職者にとっては夢と現実のギャップを丹念に解きほぐしていく取り組みであることだ。しかし、来栖の言葉は莉子に届かない。余裕がなくなって突っ走る莉子の売り言葉に、来栖は買い言葉で答える。あげく「今の彼と一緒にいる自分がいいって確かめたかった。嵐と一緒にいる時よりずっといいって」と捨て台詞を吐かれてしまった。
莉子と同じような状況にいる人に、彼女の心の動きは手に取るように伝わったはずだ。「愛は税金を払ってくれないし、老後に何があっても責任を取ってくれない」は、少子化に悩むこの国で、安心して働き続けることができず、それゆえ結婚を諦めざるを得ない若年世代の叫びを代弁しているようだった。追い詰められた莉子には、自分がどうにかしなければという焦りもあった。
置いてけぼりをくらった今カレの周介はかつての莉子で、莉子を幸せにできなかったと悔やむ来栖が、周介と莉子に差し出した手は、過去の自分に向けたものでもあった。莉子がどういう人間か知る来栖だから、最後まで見届ける覚悟で2人に関わることができたのだと思う。そこまで考えてあるいは来栖を信じて、シェパードキャリアが莉子の担当を任せたなら納得である。
転職という軸にどう恋愛を絡ませるか、ストーリーテリングの手腕が問われた第4話は、感情を丹念に積み重ねるキャストの熱演によって珠玉の一篇となった。『花嫁未満エスケープ』(テレビ東京系)で主人公を演じた岡崎紗絵は、本作でもリアルな同世代の心情を体現した。見応えのある45分間だった。
■放送情報
『転職の魔王様』
カンテレ・フジテレビ系にて、毎週月曜22:00〜放送
出演:成田凌、小芝風花、山口紗弥加、藤原大祐、おいでやす小田、前田公輝、井上翔太、井本彩花、石田ゆり子
原作:『転職の魔王様』『転職の魔王様2.0』額賀澪 (PHP研究所)
脚本:泉澤陽子、小峯裕之
音楽:横山克、橋口佳奈
プロデューサー:萩原崇、石田麻衣、櫻田惇平
監督:堀江貴大、丸谷俊平、保坂昭一
主題歌:milet「Living My Life」(SME Records)
OPENING SONG:LIL LEAGUE from EXILE TRIBE「Monster」(rhythm zone)
制作協力:ホリプロ
制作著作:カンテレ
©︎カンテレ
公式サイト:https://www.ktv.jp/tenshokumao/
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