『18/40』は“背中をさすってくれる”ドラマだ 市郎の「ちょっと回り道をするだけ」が響く

 人生は短いようで、意外と長い。夢を叶えた後も、あるいは夢が破れた後も、人生は続いていく。だから、むしろルートを外れてしまったときに、自分で納得して、次の道を見つけていく力を身につけることも大人になるということなのかもしれない。若さゆえに葛藤する有栖と同時に、かつてプロ野球選手として華々しい活躍をしていた加瀬(上杉柊平)の人生が描かれることで、それがより強調されるようだった。

 野球選手の道は絶たれ、結婚もうまくいかなくなってしまった加瀬。その後、人と接することを避けるようにドライバーになった。加瀬にとっては厳しい日々だったに違いない。でも、その回り道があったからこそ今、瞳子という魅力的な人に出会えた。それは、プロポーズよりも仕事で夢を叶えるチャンスを選んだ瞳子もそうだ。

 「これがセオリー」とされているルートから外れた道を歩もうとすると、周囲からはいろいろと言われるものだ。それこそ、有栖が大学で同級生たちから好奇な眼差しを向けられたように。あるいは、瞳子が母親・貴美子(片平なぎさ)から「育て方を間違えた」なんて言われてしまうように。でも、大事なのは今の自分を自分自身が「好きだ」と言えるかどうか。凛とした美しさをまとう瞳子を見ていると、そう気づかされる。

 そして、もう1人回り道の最中だと思われるのが、大学で有栖をかばい心強い味方になってくれた祐馬(鈴鹿央士)だ。第4話では、瞳子が務める会社の社長・黒澤(髙嶋政宏)の息子であることが判明する。彼は親の一声でキュレーターになることも可能だろう。

 しかし、祐馬は夜な夜なダンスに汗を流し、食べるお金にも困るような生活をしている。それは彼なりにじっくりと広い世界を眺めていこうとしているのではないだろうか。そして、その柔軟な視点が、有栖と瞳子の関係性もありのままに受け止め、「応援させてくれ」と言える素直さに繋がっているのかもしれない。

 多くの情報が溢れているからこそ個々の生き方を認め合えるかと思いきや、むしろ“失敗したくない”、“無駄な時間を過ごしたくない”と「普通」や「セオリー」により引っ張られているような気もする。そんな私たちに、本作は「他の人と同じじゃなくても大丈夫。回り道をしたって目指す場所には行ける」と背中をさすってくれるドラマだ。

■放送情報
火曜ドラマ『18/40~ふたりなら夢も恋も~』
TBS系にて、毎週火曜22:00〜22:57放送
出演:福原遥、深田恭子、鈴鹿央士、上杉柊平、出口夏希、長澤樹、八木勇征(FANTASTICS)、嵐莉菜、シルビア・グラブ、髙嶋政宏、美村里江、松本若菜、片平なぎさ、安田顕
脚本:龍居由佳里、木村涼子
プロデューサー:韓哲、荒木沙耶、内川祐紀
演出:福田亮介、松木彩、宮﨑萌加
音楽:吉俣良
主題歌:Ado「向日葵」(ユニバーサル ミュージック)
製作著作:TBS
©TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/1840_tbs/
公式Twitter:@1840_tbs
公式Instagram:1840_tbs

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