『トリリオンゲーム』目黒蓮の計算されたしたたかさ 求心力が増すハルというキャラクター

 オンラインショップを成功させるために飛び込んだのは、なんと歌舞伎町のホストクラブ。ハッタリAIでフラワーギフトを売ろうと思っていたのに、気づけばナンバーワン争いに!? そんな予想の斜め上をいく展開で楽しませてくれている金曜ドラマ『トリリオンゲーム』(TBS系)。第3話では、これまで天然の人たらしと思われたハル(目黒蓮)の、その言動の裏にある計算されたしたたかさが見えてきた。

 フラワーギフトの最大市場は夜の街。そこでハルは自らホストになることで、たくさんの客にAIショップ『ヨリヌキ』から花を購入してもらおうと企む。勇んで新宿・歌舞伎町にやって来るも、そこにはナンバーワンホスト・ヒロト(黒羽麻璃央)という大きな壁が立ちはだかった。ハルとガク(佐野勇斗)が、ホスト業を通じて別の金儲けをしようとしていることを知るやいなや、2人に「追放命令」を出すヒロト。この街のルールはナンバーワンが決める。そう聞いたハルは、今月の売上でヒロトを抜いてトップになると言い出し、この挑発にヒロトも乗っかる形で2人は対決することに。

 着実に客数を増やしていくハルに「花なんて売れない」と余裕を見せるヒロト。歌舞伎町の住人は律儀で義理堅く、いつものお店で飲み食いし、いつものお店で花を買うのだと。そう真っ直ぐに忠告してくれるヒロトも、やはり律儀なタイプの人間だ。通常ならば、そんな勝ち目のない勝負なのだと先手を打たれては戦意喪失してしまいそうなところ。だが、ハルは違う。ならば「裏切らせる理由」、つまり「こういう理由があるから仕方ないよね」という状況をお膳立てしてあげればいいと笑うのだ。

 そしてハルのアイデアを、ガクが技術と凜々(福本莉子)の誠実さで形にしていくのが、株式会社トリリオンゲームの真骨頂。すぐにオンライン上でフラワーギフトを3Dデータにし、360度どの角度から見える仕組みを作り上げて、一気に売上げを伸ばしていった。人を動かすには、そうせざるを得ない状況から仕立てていくこと。その計算は、桐姫(今田美桜)にも見事に刺さった。今月のナンバーワンを決める最後の夜。残り500万円の差をつけられた状態で、残り10分を切ったタイミングで桐姫が来店したのだ。

 「私に合うお酒を出してくれた方を指名する」という桐姫に、ヒロトは2,000万円する最高級ブランデーを提案。対して、ハルはといえば、まさかの缶ビール。もし選ばれたとしても、500万円の差を埋めることは到底できないとガクは唖然とする。しかし、ハルは勝利を確信していたことだろう。「ワンナイトの約束、覚えているか?」なんて挑発されたら、桐花は無視できずに来店するはずだとハルは見抜いていた。さらに「面白いものを見せてやる」と言われて、その“面白いもの”のキーを自分が握っているとわかってはハルの期待に応えずにはいられない。

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