山時聡真、窪塚愛流、當真あみ、茅島みずきら、『最高の教師』に集ったブレイク前夜俳優
松岡茉優演じる教師の九条里奈が、卒業式の日に教え子によって校舎から突き落とされ、1年前の新学期へとタイムリープ。そして“2度目”の1年間で、問題児だらけの3年D組の生徒たち30名と全力で向き合っていく。日本テレビ系土曜ドラマ『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』は、生徒たちが抱えるクラス内の問題や家庭の問題を描く旧来の学園ドラマの定石をふまえながらも、そこにタイムリープ・サスペンスの要素を介入させた、いかにも現代的な学園ドラマでもある。
今田美桜×鈴木仁、神尾楓珠×望月歩、福原遥×富田望生……『3年A組』が叶えた“再共演組”を探せ!
学校を舞台にした学園ミステリー『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』(日本テレビ系)。先の読めないストーリーに惹きつけられる…
“学園ドラマ”である以上、物語をかき回す主導権は生徒たちのほうが握っている。これまで作られてきた数多の学園ドラマがネクストブレイクの宝庫となってきたように、同じプロデューサー&演出家のもとで日本テレビ系で2019年に放送された『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』では、永野芽郁を筆頭に片寄涼太や川栄李奈、今田美桜、福原遥、上白石萌歌といった当時すでに頭角をあらわしていた顔ぶれに加え、神尾楓珠や萩原利久、望月歩、鈴木仁、堀田真由、富田望生、そしてなんといっても森七菜と、現在の映画・ドラマ界に欠かせない若手俳優たちが一堂に会した。
そうなれば自ずと、今回の『最高の教師』の生徒役キャスティングへの期待も高まらずにはいられない。第1話でクラス中からいじめの標的にされ、九条に手を差し伸べられる優等生の鵜久森を演じる芦田愛菜、その鵜久森に対するいじめを主導するクラスのリーダー的存在・相楽を演じる加藤清史郎。10年以上前から“天才子役”として鎬を削ってきた2人に注目が集まるのは当然だが、他の28名もなかなかの粒揃い。ピックアップすべき俳優があまりにも多いため、ひとりひとりについては簡潔にしか触れられないことを予めお詫びしておきたいほどだ。
まず筆頭株として挙げるべきは、すでに放送された第2話でフォーカスが当てられた瓜生を演じる山時聡真。『3年A組』で主人公の教師を演じて本作では主題歌を担当する菅田将暉の事務所の後輩にあたる彼は、この2023年夏に最も知名度を上げた俳優といっても過言ではないだろう。現在公開中の宮﨑駿監督の新作『君たちはどう生きるか』で、主人公の声を担当しており、おそらくSNSなどで情報が出る前にそれを鑑賞した人は、映画館を出て真っ先に彼の名前を検索したのではないだろうか。その公開週末に本作の放送がスタートし、第1話から九条に金を無心し、第2話で一気に熱の入った演技を見せる。顔と名前と声と演技、すべてを1週間足らずで日本中に浸透させたのは強い。
実際のところ、若手俳優界隈はかなり長いこと層の厚い状態が続いており、先に挙げた『3年A組』出身メンバーたちも多くがまだ“若手俳優”と括られる位置にいることを踏まえれば、現在高校生役を演じられる世代の俳優たちがブレイクするためには、上の世代の分厚い壁を超えていかなければいけない。まだこのドラマ内での見せ場こそないものの、栖原役の窪塚愛流は俳優デビューから5年。そろそろ壁を破るべきタイミングに来ているのではないだろうか。現在19歳で、プライムタイム帯の学園ドラマは今回が初。父である窪塚洋介も『GTO』(カンテレ・フジテレビ系)で頭角をあらわしたのが19歳の時だった。クラス全体を写した教壇からのショットでも、30人のなかで1人だけ異質なほどのオーラを放つ窪塚。このドラマが大きな飛躍のきっかけになってくれることを願いたい。
すでに“ブレイク前夜”にまで差し掛かっている顔ぶれも、このドラマがひとつのターニングポイントとなるのではないだろうか。第1話で九条に内申点のことで物申し、第2話では鵜久森に声をかけられて戸惑いの表情を見せる東風谷を演じる當真あみは、2023年を代表するブレイク女優として前々から注目を集めてきた逸材。先ごろ公開された『忌怪島/きかいじま』のラストシーンの鮮烈さから、次作が楽しみだった女優の1人だ。