成海璃子、山谷花純、中田青渚ら 『らんまん』を支える頼もしい女性キャラクターたち 

 放送中の朝ドラ『らんまん』(NHK総合)では、ついに主人公・槙野万太郎(神木隆之介)が植物学者として世に認められた。彼の歩む険しい道をともにしようという、妻・寿恵子(浜辺美波)の支えがやはり何よりも大きいだろう。いくら万太郎が素晴らしい才能と好奇心を持っていようとも、たった一人ではそれを扱い切ることができないのだ。周囲の支えがあってこそのもの。「東京編」では寿恵子を筆頭に、とにかく女性キャラクターたちが頼もしい。

 万太郎が東京へとやってきて、一番最初に出会ったのは倉木えいだった。万太郎の大切なトランクを質屋に入れようとしているところで遭遇。出会いこそ最悪だったものの、いまでは同じ十徳長屋で暮らすご近所さんだ。演じているのは成海璃子で、主演の神木とは同世代で芸歴も同じくらい。神木が神木本人役として主演を務めた『神木隆之介の撮休』(WOWOW)で共演していたことも記憶に新しい。えいには初登場から間もなくして“主役回”といえるものが用意されていた。彼女の行動の真相が明かされたエピソードだ。ここで成海が夫役の大東駿介とともに力演を刻んだことで、「東京編」は締まりのあるスタートになったのである。

 十徳長屋にはほかにもユニークな面々が揃っているが、安藤玉恵が演じる江口りんと、山谷花純が演じる宇佐美ゆうは登場するたびに展開を盛り上げる存在だ。りんはこの長屋の差配人で、個性的な住人たちの相談役。住むところを探していた万太郎にとって、まさに“支えてくれる人”の一人だ。演劇畑出身者である安藤は、あらゆる作品を支えるバイプレイヤーとして広く知られているのではないだろうか。本作でも軽妙なセリフ回しで魅せ、作品にリズムを与えている。一方の山谷が演じるゆうは長屋の住人で、小料理屋で働く女性。いろいろとワケがあって東京に流れついてきたらしい。そしてその過去は、彼女の言動の端々から感じられる。山谷本人はまだ二十代半ばだが、彼女もまた子役期からキャリアをスタートさせた存在だ。やはり演技は経験が物を言う。言動の細部にキャラクターの人生を乗せるのは、多様な経験こそが為せる業だろう。

 万太郎が植物学者として世に出ることができたのは、彼が雑誌を作るために石版印刷の技術を伝授した大畑印刷所の人々の功績が大きい。工場主である大畑義平(奥田瑛二)の妻・イチ(鶴田真由)も非常に頼りがいのある存在だ。いつも威勢のいいパワフルな女性で、繊細さをも必要とする労働に向かう男たちに発破をかける。演じる鶴田はシーンごとにおける自身のポジションを正確に捉えてまっとうし、たとえ出番が短くとも物語を活気づけてみせている。彼女が登場すれば作品全体が華やぐというものだ。

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