宇野維正の興行ランキング一刀両断!
意外に健闘? 洋画ファンの掘り起こしに成功した『インディ・ジョーンズ』
先週末の動員ランキングは、『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』が週末3日間で動員25万6000人、興収3億9400万円をあげて、公開2週目にして動員でも1位に。公開から10日間の累計動員は93万人、累計興収は13億6200万円。前週も興収では今週2位の『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -決戦-』を上回っていたので、興収ではこれで2週連続1位となった。
気がつけば、これでゴールデンウィーク真っ最中の5月1週目以降、『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』3週、『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』1週、再び『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』2週、『リトル・マーメイド』3週、『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』2週と、興収では実に11週連続で外国映画がトップに立ってきたことになる。邦高洋低と言われて久しい日本国内の映画興行だが、実際のところその「邦」とは特定のフランチャイズ、もしくは特定の作家による国内アニメーション作品のことであり、そういう作品の公開がなければ2023年においてもまだ外国映画が「戦える」ことを示していると言えるだろう。
しかし、公開から73日間で興収128億3985万1930円を記録している『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』を除くと、興収1位に立ってきた他の作品の成績はそこまで目覚ましいものではない。『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』は公開から52日間で興収37億3595万5430円。2021年公開の前作『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』は最終興収36億6700万円だったので、「前作超え」こそ既に果たしたものの、2017年公開の前々作『ワイルド・スピード ICE BREAK』の最終興収40億5000万円のシリーズ最高興収には届きそうにない。しかし、まあ、こちらは及第点と言えるだろう。
厳しいのは3週連続トップには立ったものの、公開31日間で興収が27億61万7990円の『リトル・マーメイド』だ。それでもなんとか興収30億円には届きそうだが、2019年の『アラジン』(最終興収121億6000万円)とは比べるべくもなく、やはりディズニー作品の日本マーケットそのものがコロナ禍を境に大きく変質したことを指摘せずにはいられない。