『らんまん』志尊淳の眼差しに宿る慈愛の心 寿恵子が竹雄から受け継ぐ“想い”

 『らんまん』(NHK総合)第63話で、万太郎(神木隆之介)と寿恵子(浜辺美波)、竹雄(志尊淳)は横倉山へ向かう。竹雄は万太郎の助手の役目を引き継ぐため、寿恵子に植物採集の作法を教える。

 植物採集の作法に触れて間もない寿恵子が戸惑いを見せるも、万太郎と竹雄は優しく伝授する。万太郎は植物がひとかたまりに生えている時の採集方法について「まあ、こればっかりはよう見続けんと分からんかもしれんのう」と笑っていた。万太郎は植物と熱心に向き合うあまり、時々言葉足らずになる。一方で竹雄は、不慣れな寿恵子に寄り添うように、自分がどのように作法を身につけてきたかを丁寧に丁寧に教えていた。植物を採集した時の環境や状態を忘れないように、事細かに書き記していくことを勧める竹雄はこう言った。

「万太郎の話し相手になりたいがやったら、書いてでも覚えちょくがじゃ。何でもない話の相手でも、助けになれることがあるき」

 植物に夢中な万太郎は、万太郎を支え続けてきた竹雄の陰の努力を知らない。けれど、竹雄が寿恵子に伝える言葉の一つ一つが、万太郎のそばにいたい、万太郎の力になりたいと願いながらも、助手としての務めに不安を覚える寿恵子の支えとなったことだろう。

「わしみたいな凡庸がついていくがは大変じゃき。ほんじゃき努力した。万太郎が息するように分かることを、わしは一生懸命覚えるしかない。それでもそばにおりたかったき」

 慣れたことのように淡々とした口調にも聞こえるが、言葉の端々に、そして万太郎を見る竹雄の眼差しに、万太郎への慈愛が感じられた。そんな竹雄からの「大丈夫。あなたならできるき」という言葉に励まされ、寿恵子は笑顔を見せた。

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