村上は自身の「個性」によって陰がある一虎像を立ち上げ、「技術」によってその像を自在に変化させてみせる。吉沢が演じる東京卍會の総長であるマイキーは、キャラクター設定の時点でカリスマ的存在だ。それを十全に体現してみせる吉沢もすごいのだが、この存在に拮抗してみせる村上もやはりすごい。「技術」に支えられた「個性」はより強度を持ち、「個性」に彩られた「技術」は唯一無二のものとなっているのである。

　近年の村上の活躍ぶりには目を見張るものがある。2021年公開の『孤狼の血 LEVEL2』で自身の肉体を媒介として裏社会の恐怖に観客を引きずり込んだ彼は、同年公開の『るろうに剣心 最終章 The Beginning』と『燃えよ剣』の2作で伝説の人斬りに。いいように使われるチンピラを演じた前者ではより「技術」を駆使し、対する後者では完全に彼自身の「個性」で勝負をしていた。たんに演技が優れているだけでは後世まで語り継がれる人物を演じられはしないだろう。これらは“大作”に分類される映画だが、村上は良質なインディペンデント作品の看板も背負うだけでなく、支える側にまわることもある。同じく2021年に公開された『プリテンダーズ』がまさにそうだ。登場期間は短かったものの、朝ドラ『カムカムエヴリバディ』（NHK総合）での好演もいまだに鮮明に覚えている。

　さて、そんな彼の出演最新作である『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -運命-／-決戦-』は大ヒット作の続編とあって、これからさらに話題を広げていくことだろう。そして、村上が表現する一虎の激情は、観客の一人ひとりに突き刺さるはずである。本作は村上虹郎の新たな代表作に、そして、一虎役は彼が生ききった代表的なキャラクターに、必ずやなるに違いない。

■公開情報
『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -運命-』
『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -決戦-』
全国公開中
出演：北村匠海、山田裕貴、杉野遥亮、今田美桜、眞栄田郷敦、清水尋也、磯村勇斗、間宮祥太朗、吉沢亮、永山絢斗、村上虹郎、高杉真宙
原作：和久井健『東京卍リベンジャーズ』（講談社『週刊少年マガジン』連載中）
監督：英勉
脚本：髙橋泉
配給：ワーナー・ブラザース映画
©和久井健／講談社 ©2023映画「東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編」製作委員会
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