『らんまん』竹雄が綾に2回目の告白! 佐久間由衣のまなざしに見えた“紛れもない愛”

 連続テレビ小説『らんまん』(NHK総合)の第12週となる「マルバマンネングサ」が放送された。ついに寿恵子(浜辺美波)と結ばれた万太郎(神木隆之介)は、竹雄(志尊淳)を伴い土佐に帰る。その日は折しも造り酒屋にとって大切な「甑倒し」の日であったが、綾(佐久間由衣)が切り盛りする峰屋は苦境に立たされていた。酒を作った時点で課税されてしまう「造石税」のせいで、新しい酒造りに挑戦することさえできずにいたのだ。

 万太郎と寿恵子の恋模様に大きな進展があった先週に続き、第12週では久しぶりに対面した綾と竹雄の恋路も描かれた。いよいよ2人の気持ちが通じ合う瞬間が来ると思われた矢先、竹雄の恋心はするりとかわされてしまった。いったい綾の心のうちはどうなっているのだろうか。過去の綾と竹雄の恋にまつわるシーンを振り返りながら、その想いを紐解いていきたい。

 竹雄が心の内を綾にはじめて伝えようとしたのは、第19話のお祭りのシーンである。当時、竹雄は「綾様を……お慕い……」と言いかけるも、うるんだ瞳の綾を前に「尊敬しちょりますき」と言葉を選んでしまう。綾は「竹雄に言われてもね」「奉公人のかがみやね」と答えるのだった。宙ぶらりんの恋心は祭囃子の喧騒の中に消えていった。まだ主従関係にあった当時、2人が本心を伝えあうことには躊躇いもあったろう。まして綾は幸吉(笠松将)に失恋したばかりなのだから、すぐに竹雄に目を向けることはできなかったのではないか。しかしこのとき竹雄の手を引いて祭りの輪に誘ったのは綾であり、少なからず竹雄に対しての信頼感や人間性への好意はあったように感じる。2人は夢のような時間を共有することができた。

 第25話では、竹雄が東京土産のかんざしと共に綾に想いを伝えた。

「好きじゃ、綾様のことが」

 だがこのときには、竹雄はすでに万太郎と東京に行く決心をしていたのである。綾はどんな気持ちで竹雄を送り出したのか。そこには、竹雄が万太郎を支えるのなら自分はタキ(松坂慶子)と峰屋を支えていこうという同志のような絆が見えた。お互いの立場を理解しながら自分のやるべきことを頑張るという、そんな関係性があったように思えたのだ。

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