『ワイスピ』を洗練させた『ファイヤーブースト』 整合性の向こう側へのドライブ

 ギャルですごくマッシヴなジョーカーであるジェイソン・モモアがヴィン・ディーゼルと戦うファイヤーがブーストする映画! これほど素晴らしい筋書きが他にあるだろうか。特に「ギャルですごくマッシヴなジョーカーであるジェイソン・モモア」の部分が素晴らしい。多くの人が言及しているが、本作のジェイソン・モモアは魅力が爆発している。こんなにも邪悪なのに、こんなにもかわいいことがあるのだろうか。ギャルですごくマッシヴなジョーカーをジェイソン・モモアにやらせようと決めた会議は、この世で最も有意義な会議だったに違いない。

 それから個人的に最高だったのはジョン・シナだ。前作では物語の重力に縛られた結果ヴィン・ディーゼルと一緒になってムッツリしていたジョン・シナだが、本作では甥っ子のために戦ったり踊ったりする最高の叔父さんになっている。というかそのはっちゃけた演技はどう考えても『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』(2021年)で演じたピースメイカーだ。それもスピンオフドラマ『ピースメイカー』(2022年)でのピースメイカーだ。恐らくジョン・シナも演じていて「これだ!」となったのだろう。前作とまるで別人のようだが、最高なのであまり気にならない。

 『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』は馬鹿な映画だ。最近の映画ではお馴染みのクソデカ場所表示テロップで「秘密組織の極秘施設」と出た時は、いくらなんでも賢さが小学5年生すぎるだろうと思った。でもそんな馬鹿馬鹿しさと『ワイルド・スピード』に真面目に向き合った結果、これほどの傑作が生まれたのだと思う。というわけで、『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』を観て、正気を失う準備をしよう。きっと最高の混乱と最高の興奮が、あなたをファイヤーがブーストするドライブ感に導いてくれるはず。

■公開情報
『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』
全国公開中
出演:ヴィン・ディーゼル、ミシェル・ロドリゲス、タイリース・ギブソン、クリス・“リュダクリス”・ブリッジス、ジェイソン・モモア、ナタリー・エマニュエル、ジョーダナ・ブリュースター、ジョン・シナ、ジェイソン・ステイサム、サン・カン、ヘレン・ミレン、シャーリーズ・セロン、ブリー・ラーソン
監督:ルイ・ルテリエ
脚本:ジャスティン・リン、ダン・マゾー
提供:ユニバーサル・ピクチャーズ
配給:東宝東和
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