『日曜の夜ぐらいは...』宝くじに当選したサチ、若葉、翔子に“辛酸”が 3人の幸せを願って
サチと母親の数少ないストレス発散の儀式である車椅子で爆走している姿を見かけた離婚した父親(尾美としのり)は、めざとくも2人の会話からその車椅子が最新型であることに気づき、サチの前に現れる。突然泣きながら土下座をして「頼む、助けてくれ、この通りだ」なんて調子のいいことを言い出す情けない男だ。サチら母娘がピンチの際には「こっちにも家庭があるから」と一切の寄り添いも見せず取りつく島もなかったくせに、ここでサチが救いの手を差し伸ばさなければまるで彼女が非情だと思わせるようなシチュエーションに持ち込むのが本当に狡い。自分のこれまでの“無責任”“無関心”をすっかり棚上げして。こんな父親の姿を目の当たりにさせられる娘の方が泣きたいに違いない。
しかし、お金を使いたいと思える相手がいることや、狡猾とは言えある意味頼られる誰かがいることさえ“持てる”者なのかもしれないと思わされるのが翔子のやるせなさだ。家族内で存在を抹殺されている翔子は久々に連絡をくれた高校時代の同級生からの誘いに呼び出され嬉々として出かける。同級生は人違いをしていた上、マルチ商法だろう美顔器などを勧めてくるが、そうとわかっていながらも買ってしまう。寂しさの紛らわせ方がまた新たな虚しさの種になっている。
宝くじに当たってもなお、彼女らを取り囲む問題はもちろん解決しないどころか、より孤独を深めている。しかし、一つ希望があるとすればサチがこれまで前を通りかかるだけだった住田賢太(川村壱馬/THE RAMPAGE)プロデュースのお洒落なカフェについに入った。今までは外からカフェを利用する人たちを“別世界の住人”というように眼差すだけだったサチが自身も同じ場所に座ったのだ。このカフェで若葉と翔子と3人一緒にテーブルを囲み、その中心で弾けるように笑うサチの笑顔が見たいと思ってしまう。そんなささやかな幸せくらい彼女らに許されますように。
■放送情報
『日曜の夜ぐらいは...』
ABCテレビ・テレビ朝日系にて、毎週日曜22:00〜放送
出演:清野菜名、岸井ゆきの、生見愛瑠、岡山天音、川村壱馬(THE RAMPAGE)、やついいちろう(エレキコミック)、今立進(エレキコミック)、椿鬼奴、飛永翼(ラバーガール)、橋本じゅん、和久井映見、宮本信子ほか
脚本:岡田惠和
演出:新城毅彦、朝比奈陽子、高橋由妃、中村圭良
企画・プロデュース:清水一幸
プロデューサー 山崎宏太、山口正紘、郷田悠(FCC)、浅野澄美(FCC)
制作協力:FCC
制作著作:ABCテレビ
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