池田鉄洋、山脇辰哉、山谷花純、住田隆 『らんまん』東京編を盛り上げる十徳長屋俳優たち
ちゃっかり者な予感もする宇佐美ゆう(山谷花純)
長屋の人々はなんやかんや言いつつも倉木一家を気にかけているようだ。中でも、ゆうは「ケン坊のためにありがとうございます」と万太郎に深々と頭を下げたり、「おえいさん、晩飯食べたの?」と気遣う。ゆうを演じている山谷のごく自然な演技によって、ゆうが自身と年が近いと思しき倉木の妻・えい(成海璃子)を気にかけている様子が伝わってくる。一方で、亭主である倉木に対しては手厳しいのも印象的だ。
『鎌倉殿の13人』が突きつける“何を信じるか” 愛すべき弱さを持った源頼家に寄せて
第26回で頼朝(大泉洋)が亡くなり、頼家(金子大地)が新しい鎌倉殿となり、物語が遂にタイトルに追いついた、第2章幕開けのNHK大…
山谷花純といえば、2022年放送の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(NHK総合)で源頼家(金子大地)の側室・せつを演じていたのが記憶に新しい。この作品で山谷は、頼家を一心に想うせつをまっすぐな眼差しで演じきった。その後、頼家に訪れる悲劇が際立ったのは、頼家と心を通わせたいと願うせつの思いが届き、頼家の心を動かしたからだと考える。
「こんな訳あり部屋にねえ......。物好きなお人だよ」「あたしは独り身だから仲よくしましょ。ねっ、若様」と言った台詞から、どことなくちゃっかり者の感じを覚える。
あけすけな物言いをする噺家、牛久亭九兵衛(住田隆)
九兵衛はあけすけな物言いがある意味万太郎と似ている。第28話で、万太郎は倉木から植物標本を取り戻すため、その価値について説くのだが、その最中、九兵衛は「クズに見えるがのう」とはっきり口にしていた。一切悪気のないその物言いがコミカルに映る。
住田は『ゲゲゲの女房』や『まれ』、『とと姉ちゃん』と、NHK連続テレビ小説に度々出演しており、その顔に見覚えがある人がいるかもしれない。
長屋の人々からは「師匠」と呼ばれており、九兵衛もまんざらでもない様子。万太郎に「噺家さんですか!?」と聞かれると、「いかにも」と誇らしげな面持ちを見せる。とはいえ、長屋に住む福治も丈之助もゆうも、それぞれ人物像に癖がありそうで、九兵衛も例外ではない。
長屋には他にも、倉木やその妻・えい、差配人のりんがいる。彼らが万太郎の新しい暮らしにどう関わり合っていくのか楽しみだ。
■放送情報
NHK連続テレビ小説『らんまん』【全130回(全26週)】
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:神木隆之介、浜辺美波、志尊淳、佐久間由衣、広末涼子、松坂慶子ほか
作:長田育恵
語り:宮﨑あおい
音楽:阿部海太郎
主題歌:あいみょん
制作統括:松川博敬
プロデューサー:板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久
演出:渡邊良雄、津田温子、深川貴志ほか
写真提供=NHK