綾（佐久間由衣）と一緒にタキ（松坂慶子）を納得させ、みんなに見守られながら佐川を旅立った万太郎（神木隆之介）。従者から“相棒”となった竹雄（志尊淳）と共に向かう先は、植物学研究が進む東京だ。『らんまん』（NHK総合）第6週から“東京編”がスタート。初日は、最初こそ何もかも順調に思えた万太郎の険しい道のりを予感させる放送回となった。

　万太郎が東京に到着してまず訪れたのは、最も心躍る場所。植物学者の野田基善（田辺誠一）と里中芳生（いとうせいこう）がいる博物館だ。以前、内国勧業博覧会への参加を名目に上京した際に万太郎はここで植物分類学という学問に出会った。

　あれから1年ぶりに来訪した彼を野田たちは快く迎える。万太郎はここに来るまでに、竹雄にも協力してもらいながら土佐の植物目録を完成させ、ひいては一部地域における植物相＝フローラを独自に明らかにした。実家が裕福でたんまりと書物を手に入れられたとはいえ、その情熱には目を見張るものがある。

　そんな万太郎が慕う野田と里中は、垣根を一切感じさせない人たちだ。文部省博物局所属の偉い学者でありながら、権威を振りかざすこともなく、植物を愛する心で繋がった万太郎の功績を素直に認める。その上、新種の可能性大な植物を所有する万太郎のために東京大学植物学教室への紹介状まで書いてくれた。そこにはアメリカのコーネル大学で植物学を学んだ田邊という教授がいるという。

　偉い先生ほど気さく。これまでの例から「きっと優しい方ながじゃがろう」と想いを馳せる万太郎。完全にフラグが立ったところで、彼は次の約束に向かう。そこにいたのは立派に成長した、名教館時代の学友・佑一郎（中村蒼）だ。武家の息子であるという誇りから、当初は商人の子供でありながら特例で名教館に通えることになった万太郎を目の敵にしていた佑一郎。だが、これからは身分に代わり個人の才覚が重要視される社会になると説く池田蘭光（寺脇康文）のもとで共に学ぶうちに彼らの距離は縮まった。