吉沢亮&村上虹郎のアクションのルーツは? 『東京リベンジャーズ2』を武道家が語る

 4月21日に『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -運命-』が公開された。元々『ビー・バップ・ハイスクール』(1985年)世代の筆者は、この『東京リベンジャーズ』シリーズには興味がなかった。出てくるヤンキーたちが、揃いも揃ってイケメンすぎる。「いちばん強いヤンキーは吉沢亮」という時点で、「そんなわけあるかい」とヘソを曲げていた。

 思えば『ビー・バップ・ハイスクール』に出てくるヤンキーたちは、主人公の仲村トオルと清水宏次朗を除いて、みんなゴリゴリにいかつかった。あの“顔面凶器”小沢仁志が、モテモテのヤンキーを演じているような世界観だった。的場浩司も眉毛を剃り落とし、鬼のような剃り込みを入れ、ほぼ誰だかわからなくなっていた。この『東リべ』で言えばキヨマサ(鈴木伸之)ぐらいが、やっと平均レベルである。

 オシャレさよりもいかつさを追求するのが、本来のヤンキーだと思っていた。だから、「面白くなかったら途中で観るのをやめよう」ぐらいの気持ちで、『東京リベンジャーズ』1作目を観た。

 めちゃくちゃ面白かった。すぐにネットカフェに走り、原作も読んだ。吉沢亮演じるマイキーは、素晴らしかった。「イケメンなのに最強」という設定に、なんら違和感を抱かなかった。かっこ良さやかわいらしさというイケメン要素と、怖さや強さといったヤンキー要素が自然に同居していた。

 実戦におけるマイキーの主武器は、蹴りである。それも、対複数の戦闘においてはリスクの大きい、高い蹴りだ(バランスを崩したりキャッチされて転倒したら総攻撃を受けるため)。あえてハイリスクな技で戦うところに、戦闘力の高さから来る余裕を感じさせる。

吉沢亮と永山絢斗らが廃車場で戦いを繰り広げる 『東京リベンジャーズ2』後編本予告

北村匠海主演映画『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -運命-』の後編にあたる『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -決…

 蹴りの種類も、旋風脚(360°回転しての跳び回し蹴り)、子安キック(手をつき側転しながらのハイキック)、軸を傾けながらの後ろ回し蹴りと、やや変則的だ。そのため、ベースとなるのは決して空手などのオーソドックスな武道ではない。おそらく、かつての南米で手を拘束された奴隷が足だけで戦うために編み出された格闘技・カポエラなのではないか。そんな考察を書こうかと思いながら原作を読んだら、ベースは祖父に教わった空手だった。

 筆者が心揺さぶられたのは、マイキーのかっこ良さだけではない。弱くてヘタレな主人公・タケミチ(北村匠海)の覚醒と成長。ドラケン(山田裕貴)ら仲間たちとの絆。そして、“死ななかった”ヒロイン・ヒナタ(今田美桜)のラストの笑顔と「君はいつも急に来るね」に至り、筆者の涙腺は崩壊した。

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