『らんまん』女性差別を打ち破った佐久間由衣の叫び 万太郎と峰屋が新たな門出を迎える

 それに対する綾の態度が素晴らしかった。大変なことと承知していると断ったうえで、「正直、涙が出るほどうれしゅうございます」と述べる。幼い日の出会い、酒造りへの憧れ、女であるがゆえの制約を語り、「自分じゃどうしようもないことで、なんでじゃろうってずっと苦しかった。この世に男と女がおって、どういて女ばっかりがそう言われんといかんがじゃろうと。この先、未来永劫、女はけがれちゅうと言われ続けるがか」と心の叫びをぶつけた。

 思う存分、峰屋のために働きたい。美味い酒を作り、店を大きくする綾の決意を聞いて最初に口を開いたのは、綾を幼いころから見てきた女中のたま(中村里帆)で、竹雄(志尊淳)の母で女中頭のふじ(石村みか)、番頭の一蔵(小松利昌)が次々と賛同。蔵人衆や店の者も綾を支えると宣言し、最終的に分家の豊治(菅原大吉)たちも従った。綾の真剣な思いが女性差別の旧習を打ち破った。

 何のために生きるかという問いに答えるのは、簡単なようで難しい。万太郎と綾はやりたいことの自覚があったが、それを自分の人生の軸に据えるには、いくつかの壁を乗り越えなければならなかった。自由民権運動やジョン万次郎(宇崎竜童)との出会いを通して2週にわたって描かれた「自由」は、万太郎の内なる壁を取り払い、綾が立ち上がる原動力になった。綾の言葉は男女間の平等を指向しており、時代を超えて訴えかける力があった。

 肉親の情にあふれる真実の涙と、自由を求める魂のほとばしりに泣かされた第24話。進むべき道は決まった。土佐の植物目録を携えて、万太郎の新しい冒険が始まる。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『らんまん』【全130回(全26週)】
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:神木隆之介、浜辺美波、志尊淳、佐久間由衣、広末涼子、松坂慶子ほか
作:長田育恵
語り:宮﨑あおい
音楽:阿部海太郎
主題歌:あいみょん
制作統括:松川博敬
プロデューサー:板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久
演出:渡邊良雄、津田温子、深川貴志ほか
写真提供=NHK

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