『あなたがしてくれなくても』みちと誠は単純な不倫ではない “セックス”は何を示す?

 みち(奈緒)と誠(岩田剛典)は、お互いに夫婦間のセックスレスに悩む“戦友”として親しくなったはずだった。ただパートナーに愛されたいと願い、それぞれに頑張ってきたが、ことごとくうまくいかない。そうしてズタズタになった自分の自尊心を労り、そっとやさしく口づけをしてくれる。そんな相手に心を奪われてしまうのは避けようのない流れだったのだろう。

 木曜劇場『あなたがしてくれなくても』(フジテレビ系)第4話。みちと誠は「日の当たらない恋」とわかっていながらも、心を近づけていく。そんな2人をまるで神様が試すかのように、社員研修旅行というイベントが重なった。しかも、みちは1人部屋。ゆっくり誠の唇が近づき、みちも身を任せることに……。

「もう一度、こんなふうに愛されたかった」

 誠からの愛情を感じるほどに、みちは夫の陽一(永山瑛太)に愛されなかった悲しみを思い出して涙が溢れてしまう。誠が「してくれた」としても、みちの渇いた心が満たされるわけではない。それくらい陽一との間でセックスレスで悩んだ日々は、みちを傷つけてきたということだ。

 やさしくされるほど、自分がいかに陽一からないがしろにされていたのかが見えてくる。その涙のワケを皆みなまで言わなくても、きっと誠もそれは察してくれたのではないだろうか。少なくとも、そう思えるだけの誠実な言葉が誠にはあった。

「もうあなたに指一本触れない。だから、今までみたいにそばにいてほしい。俺にはあなたが必要なんです」

 研修旅行の帰り、誠はみちを呼び出して、そう約束する。手には2人で話したオリオン座に似た形の砂時計。3分、それは皮肉にも誠がもはや妻の楓(田中みな実)と向き合うことが難しくなった時間だった。しかし、今の誠はみちとならその砂が流れ落ちるところを、いつまでだって眺めることができそうな気がしているようだった。

 セックスレスに悩んだ2人が、プラトニックな関係性でそばにいるということ。もしかしたら、人によっては矛盾を感じるかもしれない。そもそも「心が繋がっていれば、セックスなんてしなくても」というのは、セックスを拒否してきた陽一や楓の言葉そのものだったから。

 しかし、そこには大きな違いがある。誠が「指一本触れない」と言ったのは、みちを苦しませたくないと思ってのこと。一方で、陽一や楓がそれぞれのパートナーに触れなかったのは、自分を守ってのこと。

 そのズレに気づいていたのは、もしかしたら陽一や楓のほうだったかもしれない。でも、ちゃんと向き合う努力をしなかったのは、相手への甘えがあったから。きっとみちなら今まで通り自分に合わせてくれるはず。きっと誠なら仕事で忙しい私をわかってくれるはず。いくら苦しそうにしていても、そのうち自分にとって居心地のいいこの状態を、相手ならそのまま受け入れてくれるはずだ、と。

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