『ペンディングトレイン』は“生きたい”と向き合うドラマに 第1話の注目ポイントを紹介
4月21日より、TBS系にて『ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と』(以下、『ペンディングトレイン』)が放送を開始する。主演を務めるのは山田裕貴、脇を固めるのは赤楚衛二、上白石萌歌ら、そして完全オリジナルの脚本を手がけるのが、『恋はつづくよどこまでも』(TBS系)や『着飾る恋には理由があって』(TBS系)の金子ありさと、最高の布陣で挑む予測不能のヒューマンエンターテインメントだ。今回、筆者は一足先に第1話を鑑賞したので、見どころをまとめていきたい。
物語は、偶然同じ電車に乗り合わせた見ず知らずの乗客たちが、突如として車両ごと荒廃した世界にワープするところから始まる。電波が通じず水も食料もない極限状態の中で彼らは懸命に生き、元の世界に戻ろうとする。だが、そこには生々しい人間模様が浮かび上がるのだった。
第1話では、なんと言っても極限状態に晒された人々の心理描写が印象的だった。主人公のカリスマ美容師・萱島直哉(山田裕貴)、熱血漢の若き消防士・白浜優斗(赤楚衛二)、高校の体育教師である畑野紗枝(上白石萌歌)らが、どんな思いを抱えながら日常を送ってきたのか。別世界に飛ばされてしまったことで明るみになる「元の世界」への想いを、それぞれが力強い芝居で表現する。「生きる」ことの意味を、サバイバルを通して浮き彫りにしていく展開に、早くも心を掴まれた。演技力に定評のある3人ならではの芝居のぶつかりあいは、第1話にして最高潮に。物語の導入とは思えない気迫と輝きを放つ役者陣から目が離せない。
3人のメインキャラクターを中心に物語が展開する『ペンディングトレイン』だが、そこに乗り合わせた乗客たちがまた、一癖も二癖もあるような人々だ。専門学校に通う明るい性格の関西人・米澤大地を演じるのは、なにわ男子の藤原丈一郎。沈みがちな乗客のテンションを盛り上げる重要なキャラクターでもある。そして気難しい大学院生・加藤祥大を演じる井之脇海や身勝手なネイリスト・渡部玲奈を演じる古川琴音などの若手から、冴えないサラリーマン・田中弥一役の杉本哲太、家庭を持つキャリアウーマン・寺崎佳代子役の松雪泰子などのベテラン勢に至るまで、どの役者もすさまじい存在感を放つ。第1話にして全員の個性を覚えてしまうほどの表現力は、私たちが「現実で同じ車両に乗り合わせた見知らぬ人」に感じる感覚と似たリアリティを感じさせた。彼ら彼女らが、いつ自分の隣にいてもおかしくない人物だと気づいたときに、ある種の衝撃を覚える。