『わたしのお嫁くん』波瑠&高杉真宙は理想の関係に ズボラ女子が解体した男女の“幻想”

 そんな穂香のズボラ女子ぶりを、職場では後輩として穂香と行動を共にすることが多く、営業の基本を教わっている山本知博(高杉真宙)だけが知ってしまう。ただ、山本が初めて彼女の汚部屋を目の当たりにした際、あまりのギャップに言葉が出なくなるほどドン引きしてしまったり、“騙された”というような感想を漏らさなかったところが、彼と穂香のその後を決定づけたように思える。家事が得意な彼の常識からすれば信じがたい光景が目の前に広がっている中で、酔っていたこともあり、居ても立ってもいられず叫びながら激しく突っ込む。静かにさーっと引いてしまわれたり、自分勝手に作り上げられたイメージと実像が180度違ったからといって残念がられるよりも、この山本のリアクションに穂香もきっと救われた部分があっただろう。

 それでも思わず「どこ行っちゃったんすか!? “みんなの理想のお嫁さん”ことはやみんは!」と叫ぶ山本に、穂香は言い放つ。

「理想のお嫁さんとか知らないよ。(中略)大体さ、なんで家事がちゃんとできないと理想の嫁じゃなくなるの? 結婚したら女が家のこと全部やる前提ってこと? それができる人は男も女も関係なく“お嫁さん”って呼べば良いんじゃないの?」

 ここで山本に自身の本心を吐き出せたからこそ、また意図せず“秘密”を共有し合ったからこそ、穂香は自分を見失わずに済んだ。おかげで自身にとって渾身の社長プレゼンが、社長にとっては息子の嫁探しだったと思い知らされ心折れそうになったときにも、自分らしい選択を貫けた。

波瑠&高杉真宙の新たな一面が見られる? 『わたしのお嫁くん』は“挑戦作”になる予感

波瑠が主演を務め、高杉真宙が共演する『わたしのお嫁くん』が4月12日よりフジテレビ系でスタートする。  『Kiss』(講談社)…

 山本が多くの男性陣と異なるのは、彼自身も家事ができるからこそ同じように女性側にも家事スキルを求めてしまうだけで、性別の違いだけで当然のこととして女性側にだけ家事の役割を押し付けているわけではないところだろう。さらに、つい当然のこととして家事能力を求めてしまうことについて、山本はちゃんと穂香に謝罪していた。もともと穂香に好意を抱いていた山本は、彼女の汚部屋を見たってその好意が冷めることはない。むしろ穂香の部屋の片付けに駆り出され、料理を作る機会まで得られて喜んだ。

 山本の料理や家事スキルのおかげで穂香のQOLが爆上がりしていく様を見るにつけ、『私の家政夫ナギサさん』(TBS系)を思い出した視聴者も少なくなかっただろう。双方ともに恋心なしにあくまでサービスの提供者と受け手の関係から始まった主人公・メイ(多部未華子)とスーパー家政夫・ナギサさん(大森南朋)の生活と、職場も同じで山本から穂香への好意がきっかけで始まった本作の不思議な共同生活。

  彼らはどんな2人らしい生活や関係性を見つけていくのか。次週から山本の個性豊かな兄2人の存在感も増してきそうだ。

■放送情報
『わたしのお嫁くん』
フジテレビ系にて、毎週水曜22:00~22:54放送
出演:波瑠、高杉真宙、前田拳太郎、仁村紗和、ヒコロヒー、竹財輝之助、古川雄大、中村蒼ほか
原作:柴なつみ『わたしのお嫁くん』(講談社『Kiss』連載)
脚本:橋本夏
音楽:橋本由香利
プロデュース:中野利幸(フジテレビ)
プロデューサー:芳川茜(共同テレビ)、山崎淳子(共同テレビ)
演出:紙谷楓(共同テレビ)、城宝秀則(共同テレビ)、水戸祐介(フジテレビ)
制作協力:共同テレビ
制作・著作:フジテレビ
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