『夕暮れに、手をつなぐ』最終回で交わった空豆と音の運命 永瀬廉の「好きだ!」が響く

 『夕暮れに、手をつなぐ』の放送がスタートする前、2023年1月9日放送の『さんま・玉緒のお年玉!あんたの夢をかなえたろかSP2023』(TBS系)のオンエア内で23年ぶりに復活した『ビューティフルライフ特別編』とその企画全体を観ていて、北川のドラマは場所やアイテムが印象的に使われていると改めて感じていたが、本作においては交差点とAirPodsがそれに当てはまるだろう。加えて、ヨルシカやLINEの送信取り消しといった音楽や演出は、貪欲に自身の感性やアイデアを取り入れていく北川の記名性が爆発している部分でもある。

 『夕暮れに、手をつなぐ』は「世界で一番美しいラブストーリー」でありながら、同時に何者でもない空豆と音が夢を掴んでいく物語でもあった。「ビート・パー・ミニット(BPM)」の『紅白』のステージを、衣装を手がけた空豆が送り出すシーンは2人が目指していた夢の果てとも言える。一方で、言うなれば「天才と凡人」をはっきりと描いてもいた。パリに旅立つ空豆を響子(夏木マリ)は「これからもっといいことあんだよ。楽しいことがあるんだよ」と送り出していたが、その3年後、空豆は“創造の翼”を折って日本に帰国することになる。神様に与えられたギフト、才能がありながら、それを持て余す空豆に、久遠(遠藤憲一)が言った「生きていくのが楽しいだけのやつなんているかよ」「どう生きたって、楽しいだけなんてあるわけがない。楽しみながら、戦うんだよ」というセリフは、空豆や音、久遠たちの物語を示しているのとともに、北川自身の言葉のように聞こえてならなかった。

■配信情報
火曜ドラマ『夕暮れに、手をつなぐ』
TVer、Paraviにて配信中
出演:広瀬すず、永瀬廉(King & Prince)、川上洋平([Alexandros])、松本若菜、田辺桃子、黒羽麻璃央、伊原六花、内田理央、櫻井海音、茅島成美、酒向芳、遠藤憲一、夏木マリ
脚本:北川悦吏子
演出:金井紘、山内大典(共同テレビジョン)、淵上正人(共同テレビジョン)
プロデューサー:植田博樹、関川友理、橋本芙美(共同テレビ)、久松大地(共同テレビ)
主題歌:ヨルシカ「アルジャーノン」(Polydor Records)
エンディング曲:King & Prince「Life goes on」(Johnnys’ Universe)
編成:三浦萌
制作協力:共同テレビジョン
製作著作:TBS
©︎TBS
公式Twitter:@yugure_tbs
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