『イルタ・スキャンダル』チョン・ギョンホらがヒットに導く 全員の笑顔が溢れた最終回
数学は説明ができれば解を導けるが、人生は説明できないことや答えが見つからないことばかりだ。ハンドボール元韓国代表の惣菜屋社長ナム・ヘンソン(チョン・ドヨン)と人気スター数学講師チェ・チヨル(チョン・ギョンホ)の2人が出会う確率は計算できても、愛し合うかどうかの証明はできない。分からないから悲しくて苦しい時もあれば、それ以上に嬉しくて幸せを感じる時も訪れる。『イルタ・スキャンダル 〜恋は特訓コースで〜』(Netflixで配信中)の最終回は、全員の笑顔で締めくくられた。
また本作では、受験戦争をテーマとして親と子や家族の関係性を映してきた。自分の欲や理想を押し付ける親、他人の子をお構いなしに攻撃する親、ライバルを突き落とすために手段を選ばない親、何事もなかったように十数年ぶりに現れた親。いつも大人は身勝手で、子どもを追い詰めるのは大人だ。だけど大人も完璧なわけではない。一番守りたかったはずの我が子を一番に傷つけることもある。
イ・ソンジェ(イ・チェミン)の母チャン・ソジン(チャン・ヨンナム)、パン・スア(カン・ナオン)の母チョ・スヒ(キム・ソニョン)、ナム・ヘイ(ノ・ユンソ)の母ナム・ヘンジャ(ぺ・ヘソン)が子どもに負わせた傷は深い。唯一の救いとなったのは、母親たちが自分の“間違い”に気づいたことだ。
子どもは大人が思っている以上に繊細でもあるし強くもある。受験のストレスに加え親の不倫騒動まで起きたスアは自分の道を見失わなかった。母親のために退学を選んだソンジェも高卒認定を経て晴れて大学に合格。子どもたちに忍耐力があると言いたいのではない。スアもソンジェも親の圧力がなくても自分の夢を叶え、乗り越える力があった。
ソンジェの決めた道を尊重するヘイ、告白を保留にされたソンジェを笑い飛ばすソ・ゴヌ(イ・ミンジェ)、消したいほど憎かったヘイにノートを貸すスア。高校生は子どもでもない大人でもない難しい年頃だ。だからこそ成長過程を見守り、子どもたちをもっと信じてもいいのだと思う。
ひとつ、しこりが残ってしまったのはチ・ドンヒ(シン・ジェハ)室長だ。母親が望む道を歩かされ、チヨルのサポートをする姉のチョン・スヒョン(イ・ドヘ)の夢を守ってきたチ室長は自分のために生きたことがない。これまで犯してきた罪は許されないが、もし自分のために生きる喜びを一度でも感じた経験があったら、それは間違っていると言ってくれる味方がいたら、違う結末があったのではないのだろうか。子どもにとって一番身近にいる大人や社会の責任の大きさを私たちは受け止めなければならない。