『ブラッシュアップライフ』ハハハと笑える結末を願う やり直しを通して描いた大切なもの

 現在放送中のドラマ『ブラッシュアップライフ』(日本テレビ系)が、第9話からついに最後の人生やり直しに突入する。これまで主人公の麻美(安藤サクラ)は来世で人間に生まれ変わるため今世をやり直し、人間に生まれ変われるだけの“徳”を積み直すことに注力して来た。そんな中、第8話ではついに来世で人間に生まれ変われることが決まったが、麻美はそれを捨て、最後の人生やり直しを決断する。

 本作は仏教の“輪廻転生”の考えを設定に採用したタイムリープものだ。本作はあくまで“自分が生きた時間をやり直す”ことをしているため、麻美にとってはタイムリープである。しかし第8話では、同級生・真里(水川あさみ)の1周目の人生では麻美や夏希(夏帆)、美穂(木南晴夏)と4人グループで仲が良かったという麻美の記憶にない話が登場するなど、昨今のマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)などで採用されているマルチバース(多元宇宙)っぽさも垣間見えた。

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 本作のタイムリープにおける設定はあまり明確化されておらず、麻美の知らない過去があったり、今世をやり直すタイミングがずれていても別の人生をやり直しているキャラクターたちと同じ時間を過ごしたりしている。劇中で詳しく明かされていない設定があるのかもしれないが、今世をやり直すというタイムリープにおける決まりや約束が明示されていないということは、本作はタイムリープを主題とした話の展開にはならないのだろう。

 人生1周目の麻美はそれなりに人生を楽しんでおり、今世でやり残したことがあるという理由から人生やり直しを行っていたわけではない。あくまで来世を再び人間として生きるため(厳密には自分が望んだ生き物に生まれ変わるため)、今世で徳を積み直しているに過ぎない。そのため話数が進むにつれ“人間に生まれ変わるために必要な徳を大量に獲得する”という目的が先行してしまい、4周目の人生では3周目まで変わらず親友だった夏希と美穂と親友になれない人生を送るハメになってしまった。

 一般論として、タイムリープものは『バック・トゥ・ザ・フューチャー』などで採用されていた「過去を変えることはタブー」とはされておらず、多くの作品で「未来をよりよいものに変えるために過去を変える」ことを目的にしている。麻美の場合は、人間に生まれ変わる未来を獲得することが目的だったわけだ。

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