『100万回 言えばよかった』を『100万回生きたねこ』から読み解く ハヨンが重要な存在?

新たな幽霊・原田弥生

 そして新たな幽霊・原田弥生(菊地凛子)が登場した。直木と樋口を遠くから見つめ、マンションで直木に見つかると逃げだす。また、警察署にも訪れ、譲の顔を見て驚いた表情を見せ、存在が謎のままで終了。第7話の予告で「ハヨンさんに伝えたいことがあります」と言い、ハヨン(シム・ウンギョン)に「本当に申し訳ありませんでした」と謝るシーンがあった。

 夫・ウジンの死に関してハヨンにどうしても伝えなければいけないことが原田の「思い残し」なのか。考えられるのは、原田を助けるためにウジンが事故に巻き込まれて亡くなった。悠依が轢かれそうになったのをハヨンが助けたのが伏線だったのかもしれない。

 では譲に似ている理由は何かと考えると、輪廻転生をしているという説。原田が何らかの理由でウジンに憑依しすぎて命を落としたという考え、その生まれ変わりが譲。ここで物語の鍵となる『100万回生きたねこ』を思い出したい。ねこはいろんな主人と出会うも毎回大嫌いで100万回生まれ変わり、本当に愛する“白いねこ”に出会ったことで生き返らなかった話。家族に愛されてこなかった直木が、本気で愛する人を見つけたことに繋がりそうだが、極論を言えば、譲も本当に愛する人を探して何度も輪廻転生してきた。そして今回、悠依&直木、もしくはハヨンがやっと見つけた“白いねこ”で、実は譲に当てはまる話だったらどうだろう。しかし、ハヨンと譲がそれほど年齢が離れていないので輪廻転生するには無理があり、ただ似ていただけかもしれない。

物語におけるハヨンの存在意義

 では、物語におけるハヨンの存在意義は何か。今のところ悠依の話し相手でしかない。『100万回生きたねこ』について悠依は、「私が白いねこだったら、100万回泣いてくれるのは嬉しいけど、でも死んでほしくない。100万回泣いたら、そのあとは元気にピンピン生きてってほしい」と、直木と意見が食い違う会話があった。悠依は直木が消えるのを望んでいない。しかし、直木は自分が成仏して、残された悠依が新しい人生を歩むことを望んでいる。

 つまり、直木が成仏するためには、悠依が直木の死を受け入れないといけない。そこで、ハヨンの存在が重要になってくる。現在、ハヨンは、夫に死について「夢だと思いたい、その方が楽だから」と言っている。今後は原田の登場で死の真相が分かり、納得した上、ハヨンは夫の死を受け入れることになるだろう。いずれにせよ、夫の死を受け入れ、前向きに生きるハヨンを見て、悠依も直木が消滅する運命を受け入れることになっていくと予想する。そうした悠依の考えを変える物語上の役割を担っている存在ではないだろうか。

 今作はファンタジーでもあるので、幽霊に関しては何が起きてもおかしくなく、原田も幽霊ではなく死神か天使で、ウジンを間違えて殺したなどという展開になれば話は変わってくる。ただ、悠依と直木が納得する別れをどう見せてくれるのか。そこには次回の原田とハヨンの関係が大きなヒントになるはずだ。

■放送情報
金曜ドラマ『100万回 言えばよかった』
TBS系にて、毎週金曜22:00~22:54放送
出演:井上真央、佐藤健、シム・ウンギョン、板倉俊之(インパルス)、少路勇介、穂志もえか、近藤千尋、桜一花、香里奈、平岩紙、春風亭昇太、神野三鈴、菊地凛子、荒川良々、松山ケンイチ
脚本:安達奈緒子
プロデューサー:磯山晶、杉田彩佳
演出:金子文紀、山室大輔、古林淳太郎
編成:中西真央、吉藤芽衣
主題歌:マカロニえんぴつ「リンジュー・ラヴ」(TOY’S FACTORY)
製作:TBSスパークル、TBS
©︎TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/100ie_tbs/
公式Twitter:@hyakumankai_tbs
公式Instagram:hyakumankai_tbs

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