『テルマエ・ロマエⅡ』阿部寛と一緒に銭湯の凄さを再発見 独特な“音”の演出に癒される
そんな同作の魅力は、テルマエによってもたらされるポジティブな変化にある。今では、当たり前のように自宅の風呂に入り、たまには銭湯などの温浴施設に足を伸ばす人も多いだろうが、古代ローマ人にとって、それは当たり前のことではなかった。戦争が絶えなかった時代に、兵士たちがテルマエで傷の治癒をする姿や、温かいお湯で優しい気持ちになっていく姿は見る人の心をも温めてくれる。
これは本作に限ったことではない。少し話はずれるが、2019年からテレビ放送されたドラマ『サ道』シリーズ(テレビ東京系)や、2019年公開の松本穂香主演の映画『わたしは光をにぎっている』、2016年公開の映画『湯を沸かすほどの熱い愛』など、銭湯を舞台にした作品は世の中に多数ある。そのどれもが見ながら「映画が終わったら、銭湯に行こう」と思わせてくれるのは、温かいお湯の中で幸せそうな顔をしている演者の表情が1つの理由になっているのではないだろうか。
そして、もう1つの理由を挙げるのならば、バラエティ番組では表現できない、映画やドラマならではの“音”だろう。自宅の風呂ではなく、大きなお風呂に入りたくなる理由はさまざまあるが、筆者はとにかく何も考えたくないとき、ゆっくりと過ごしたいときに行くことが多い。普段、なにもなくてもダラダラとスマートフォンをいじる時間をやめて、自分を落ち着ける時間にしたいのだ。
そんなお疲れモードで銭湯に行くときは、大抵目を瞑りながら、ゆっくりと呼吸をして、ゆっくりとぬるめの炭酸泉に癒されるのが至福の時間になる。そのときに意識が向くのが音なのだ。
銭湯独特の反響具合、流れ続けるお湯やジェットバスのコポコポとした音、掛け湯のザバーっとした音……銭湯にはさまざまな音が存在する。
銭湯やお風呂をテーマにした作品の多くは、この音を大事にしている印象がある。特に大きなスクリーンと、贅沢な音響設備が整っている映画館で鑑賞できたら、没入度合いもぐんと上がるだろう。
ぜひ「今日は温泉に行きたいけど、外に出たくない」という日には、銭湯・温泉ものの作品に癒されてみてはいかがだろうか。
■放送情報
『テルマエ・ロマエⅡ』
フジテレビ系にて、2月18日(土) 21:00~23:10放送
出演:阿部寛、上戸彩、北村一輝、竹内力、宍戸開、笹野高史、市村正親
原作:ヤマザキマリ『テルマエ・ロマエ』(KADOKAWAエンターブレイン刊)
監督:武内英樹
脚本:武藤将吾
音楽:住友紀人
©2014「テルマエ・ロマエⅡ」製作委員会