井川遥には“凛”という響きがよく似合う 『罠の戦争』可南子役で体現する人としての強さ

 さらに、井川は“声”もいい。とくに印象に残っているのは、『おちょやん』(NHK総合)で、ヒロイン・千代(杉咲花)が憧れるスター女優・百合子を演じた時のこと。自由で、無邪気で、気品があって。そして、強さのなかに脆さがある。そんな百合子が放った「私たちは、自由なのよ」という言葉は、今もなお、筆者のなかで“おまもり”のような存在になっている。

 また、『罠の戦争』で、「息子が突き落とされたのは自分のせいなのでは……?」と葛藤する鷲津に、可南子がかけた「責める相手、間違えないようにしよ」という台詞も、胸にこびりついて離れない。言い方はむしろ柔らかいのに、なぜかピシッと言われたような気持ちになる。これが、井川の凄みなのだろう。

 『罠の戦争』には、可南子をはじめ、蛍原(小野花梨)や、鴨井大臣(片平なぎさ)などカッコいい女性たちがたくさん登場する。世間一般的には“弱い”とされる立場にいても、決して泣き寝入りをしない。そんな彼女たちの生き様を通して、毎週希望をもらっている。

 さて、息子・泰生(白鳥晴都)を突き落とした犯人を明らかにするため、正式に出馬を決めた鷲津。公示を前に本格的な準備が始まる第5話では、妻・可南子のサポート力も試されていきそうだ。この先、何があるかは分からない。鷲津家にとって、もっと辛いことが待ち受けているかもしれない。それでも、鷲津と可南子は絶対に手を離さないでほしい。そして最後には、泰生も含めた親子3人で、笑い合う姿が見られることを願って。

■放送情報
『罠の戦争』
カンテレ・フジテレビ系にて、毎週月曜22:00〜放送
出演:草彅剛、井川遥、杉野遥亮、小野花梨、坂口涼太郎、白鳥晴都、小澤征悦、宮澤エマ、飯田基祐、本田博太郎、田口浩正、玉城裕規、高橋克典、片平なぎさ、岸部一徳ほか
脚本:後藤法子
演出:宝来忠昭
演出・プロデューサー:三宅喜重
プロデューサー:河西秀幸
音楽:菅野祐悟
主題歌:香取慎吾×SEVENTEEN「BETTING」(Warner Music Japan)
制作著作:カンテレ
©︎カンテレ
公式サイト:https://www.ktv.jp/wana/

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