『舞いあがれ!』八木莉可子抜擢の理由をCPが明かす 「切実な思いが彼女の中にはある」
『舞いあがれ!』(NHK総合)第19週より、舞(福原遥)と貴司(赤楚衛二)の間に突如として秋月史子(八木莉可子)が現れた。
史子は長山短歌賞を受賞した貴司の短歌と出会い、デラシネにやってきた若き歌人であり、自称「梅津先生の一番のファン」。彼女も貴司と同じく、これまで孤独を抱えながら、一人で短歌を作ってきた。「短歌は私の命」だという史子は貴司に自身の作品を認められることで徐々に心を開いていく。
史子を演じる八木莉可子は、『First Love 初恋』(Netflix)や『鎌倉殿の13人』(NHK総合)など、多くの話題作に出演している俳優。連続テレビ小説には今回が初出演となる。『舞いあがれ!』の桑原亮子が脚本を担当した2020年放送のオーディオドラマ『君を探す夏』(NHK FM)で八木は主演を務めており、桑原の中で今回の史子という役には最初から八木がイメージとしてあったと制作統括の熊野律時は明かす。八木自身も短歌や詩が好きという縁深い役であり、本人と同じ滋賀県出身という設定でもある。
「八木さんの元々持っている資質が史子のキャラクターに近いところがあります。これから史子のバックグラウンドが徐々に明らかになっていきますけど、彼女は彼女なりに一生懸命に生きていて、でもいろんな事情の中で生きづらさを抱えている。貴司自身が抱えている生きづらさを言葉にしていく部分と、史子が短歌に自分の気持ちを吐き出していくことで救いを求めることが重なるキャラクターとして登場させています。八木さんの透明感のある存在感はもちろんですが、彼女は意外に背が高くて、ちょっとした身体の動きだと思うんですけど、少し窮屈そうなところで自分の中に生きづらさを抱えている史子を上手に表現されているのには感心しました」
デラシネを訪ねてきた際はどこか自信のなさそうだった史子は、貴司に短歌を褒められ、肯定されることで生き生きとした表情を浮かべる。八木の演技を持って史子の心情がありありと語られていく。史子はその言葉遣いも特徴的だ。貴司に短歌を見せる際の「忌憚なきご意見をお願いします」、さらにリュー北條(川島潤哉)を「俗物」と呼んだりと、知的であり文学的な匂いが強くする。
「文学の世界に入り込むことで覚えてきた、ちょっと古風な言い回しが言葉の端々に出てくるのは、彼女の不器用さや人と関わったりすることが苦手というのが表れているのかなと思っています。史子は孤独を抱えているキャラクターで、様々な事情から他人と深いコミュニケーションが取れてこなかった。自分の中で吐き出したいことがパンパンになっていて出口を求めているという人物でもあります」