『舞いあがれ!』『まんぷく』など朝ドラ常連俳優 榎田貴斗が藤沢役に込める人間らしさ

 NHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』第16週から、舞(福原遥)の新たな挑戦が始まった。めぐみ(永作博美)と共に、浩太(高橋克典)が遺した会社の立て直しに挑む舞が担当するのは、自身にとって未経験となる営業職。そんな舞が仕事を教えてもらうことになったのが、榎田貴斗演じる藤沢だ。

 社員数名の小さな町工場からスタートした株式会社IWAKURA(旧:岩倉螺子製作所)。いつか飛行機の部品を作るという夢を叶えるため、浩太は少しずつ会社を大きくしてきた。2007年、事業拡大のために新しい工場が稼働すると、一気に社員が増加。その頃から、藤沢もIWAKURAの営業担当として活躍する姿を見せ始める。

 ただ、朝ドラファンの方は藤沢の顔に見覚えがあったのではないだろうか。それもそのはず、藤沢を演じる榎田は朝ドラの常連俳優なのだ。

 現在30歳にして、芸歴23年。榎田は2000年に映画『新・仁義なき戦い』で布袋寅泰の息子役でデビューして以降、『間寛平少年物語』(関西テレビ)でのちに吉本新喜劇のスターとなる主人公の間重美(寛平)を演じるなど、関西圏の子役として活躍する。

 そんな榎田が最初に出演した朝ドラは『芋たこなんきん』(2006年後期)。藤山直美演じるヒロイン・町子が結婚した健次郎(國村隼)の連れ子で、高校受験が迫る中学時代の長男・清志を演じた。その1年後、『ちりとてちん』(2007年後期)にも少年期の徒然亭小草若役で登場。どちらの作品でも、まだあどけなさが残る思春期の男の子を好演した。

 そこから数年が経ち、少し大人になった姿を見せてくれたのが、『カーネーション』(2011年後期)だ。榎田が登場したのは、ヒロインの糸子役が尾野真千子から夏木マリに交代となった第23週から。糸子の家に転がり込んできた孫の里香と恋に落ちる不良少年の正志を演じる。不良といっても札付きのワルではなく、母親との関係に悩む里香の心を見透かし、気遣うような優しさがにじみ出ていた。

 しかし、里香とはその後結ばれず、毎年だんじり祭りの日にのみ顔を合わせるように。成長し、二児の父になった正志は以前の面影をあまり感じられないほどに若さ特有の荒々しさが消え、落ち着いた雰囲気を放っていた。

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 『まんぷく』(2018年後期)では、黒縁眼鏡が印象に残る倉永浩役を演じた榎田。倉永はヒロインの夫・ 萬平(長谷川博己)が立ち上げた「たちばな塩業」で働く従業員、通称“塩軍団”の一人。「新聞にまつわる仕事を学生時代にかじっていた」という設定で、常にメモを取りながら仕事に励む姿から、真面目で誠実な人柄が伝わってきた。一方で、控え目ではあったが、栄養食品「ダネイホン」の開発メンバーに選ばれてからは積極的な姿勢を見せるようになっていく。台詞や見せ場は少なくとも、エキストラではなく、名前が与えられた“生きている”人物であることを意味を持たせた仕草や表情で見せるのが榎田の力だ。

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