『君の花になる』8LOOMが教えてくれた大切なこと 誰かを応援するすべての人たちに花丸を

 ついに最終回を迎えた火曜ドラマ『君の花になる』(TBS系)。回を重ねるごとに、8LOOMメンバーの魅力が次々と見つかり、ドラマの中でも、そして現実の世界でも“8LOOMY”(8LOOMのファン)が着実に増えていった。

 そんな矢先に、それぞれの次なる夢を追いかけるために行き着いた「解散」という決断。グループとして本当に解散をしてしまうのか、そしてあす花(本田翼)と弾(高橋文哉)の関係性がどうなっていくのかという展開に注目が集まった。

 「みんながやりたいことをやるために前向きに決めたこと」「8LOOMが8LOOMを縛る存在になっちゃいけない」と口にするメンバーたちを見ていると、伝わってくるものがある。本当は彼らだって解散などしたくないということが。

 心から納得した決断とは、突き進んだ先のことに夢中になれるものだ。それこそあす花が8LOOMの寮を飛び出し、弾との関係にけじめを付けて、フリースクールという新たな場所で目の前のことに夢中になれるように。だが、彼らは口を開けば「この決断が正しいのだ」「これしか道がないのだ」と、まるで自分自身に言い聞かせているように見えた。

 ツアーの最終日、8LOOMYに解散を発表する。そのタイムリミットが近づくにつれて、その思いはさらに強くなる。移動中のバス内で思わず「このままずっとツアーが続けばいいのに」と栄治(八村倫太郎)の口から本音が溢れる。「いいな、それ。このまま日本一周?」とにこやかにノッてみせる宝(山下幸輝)。すると、ちょこんと後ろから顔を出した巧(NOA)が「世界一周でも!」と続けるのだ。その会話ひとつ取ってみても、彼らが今まさに“いい感じ”なのが伝わってくる。

 だが「そしたらさ、俺たちずーっと一緒にさ……」と竜星(森愁斗)が話をさらに広げようとしたところで、「なーに言ってんのよー。そしたらお前らの次の夢、どうすんのよ」とツッコミを入れるのが、ずっと8LOOM一筋で「ここ以外に居場所はない」と話していた有起哉(綱啓永)なのがまた切ない。

 大事なものが増えれば、それだけ身軽に動くわけにはいかない。誰だってできれば将来の選択肢を失いたくないし、常に新しい何かに向かって充実した日々を過ごしたいものだ。しかし、人はいつだってすべてを手に入れられるわけじゃない。限りある時間やパワーをどう配分して取り組むか。その選択が、人生の醍醐味とも言える。

 最後の最後まで迷う彼らを見ながら思うのは、次のきらめく夢のために、かつて叶えるために必死になった夢を見失ってはいないかということだ。契約更新をかけて配信チャート1位を目指していたときには、この7人で8LOOMとして活動することが彼らにとっては夢そのものだったはず。ファンを100人増やすのに苦労していたころを思えば、ライブ会場いっぱいに輝く8LOOMYのペンライトは夢の光景だったはず。だが残酷なことに当事者であるほど、今手にしているものの大切さに気づけなかったりする。

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