ヘンリー・カヴィルのスーパーマン降板は誰の判断? 変革が進められていたDCユニバース
こんにちは、杉山すぴ豊です。ここ最近のマーベル、DCのアメコミヒーロー映画まわりのニュースや気になった噂をセレクト、解説付きでお届けします!
アメコミヒーロー映画ファンの間で衝撃が走ったのが、ヘンリー・カヴィルがスーパーマン役にもう関わらないと自ら発表したことでしょうか?
まずこの状況を簡単に振り返ります。
①今後のDC映画の立て直しとして、DCの映画部門=DCスタジオの共同CEOにジェームズ・ガン監督が就任(ピーター・サフランと共同)。
②ジェームズ・ガン監督らは、今度のDC映画=DCユニバースについて、今までの路線の大幅な見直しをすると言われており、こうした流れの中で、パティ・ジェンキンスが脚本・監督を続投する予定だった『ワンダーウーマン3』が一旦キャンセル。ジェイソン・モモアの『アクアマン』シリーズも次作で終了(ただし、ガン監督がモモアをDCのアンチヒーロー“ロボ”役に起用したいと思っている、との噂もあり)。ドウェイン・ジョンソンの『ブラックアダム』も続編はペンディングとの話が出てきた。
③要は2013年のザック・スナイダー監督の『マン・オブ・スティール』(ヘンリー・カヴィルのスーパーマン登場)から始まり、2017年の『ジャスティス・リーグ』へとつながるDC映画路線(俗称・DCEU、人によってはスナイダーバース)はここにきて大きくリセットされる模様。
というわけです。こうした流れがあって、ヘンリー・カヴィルのスーパーマンがどうなるのか注目が集まっていただけに、今回カヴィル自らが降板について言及したことはファンに大きなショックを与えたわけですね。ただここで注意したいのは、この一連のリセットがガン監督だけの判断(責任)なのか、という点はもう少し冷静に考える必要があるかもしれないということです。というのも、ガン監督がDCに関わる以前からこうした変革の準備は進められていて、2023年公開の『ザ・フラッシュ』において、DCユニバースが大きく変わると言われていました。
DC側はそもそもDCの映画世界を一旦リセットしようとしていたわけだし、DCEU(スナイダーバース)とは全く別軸のトッド・フィリップス監督×ホアキン・フェニックスの『ジョーカー』路線、マット・リーヴス監督×ロバート・パティンソンの『ザ・バットマン』路線を走らせています。
なのでガン監督就任以前から、DCは戦略を大きく見直すつもりでした。つまり「ガン監督が今までのDC映画をリセットした」のではなく「DCとして今までのDC映画をリセットするからそこから先、ガン監督にお任せします」という形で彼にオファーがいったのではないかと思います。ヘンリー・カヴィルのスーパーマン続投については、ガン監督以前からどうなるかと言われていました。
後で詳しく書きますが、もともとDC側はヘンリー・カヴィルのスーパーマンをリセットする方向で考えていたと思われます。しかし最近“とある形”で、ヘンリー・カヴィルのスーパーマンが登場。やっぱりかっこいいし、とても似合っているからファンとしては(筆者も含め)、ヘンリー・カヴィルのスーパーマンは本格的に復活する! と期待しました。また、ヘンリー・カヴィルの新作スーパーマン映画についてのアナウンスがあるのでは? と伝える海外メディアもありました。その矢先だっただけに今回のカヴィルの表明は悲しくなったわけです。
さてカヴィルのスーパーマン降板について、いくつか筆者が思ったこと・思い出したことをここに書いておきましょう(以下、筆者の憶測が多々入っている部分もあるのでご了承ください)。
まず、アンドリュー・ガーフィールドのスパイダーマン降板劇と似ているということ。実はアンドリュー・ガーフィールド出演の『アメイジング・スパイダーマン』シリーズは3作目まで作られる予定でした。しかし、キャンセルとなり、トム・ホランド版スパイダーマンが作られることとなります。それは、スパイダーマンの映画を作るソニー・ピクチャーズとマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)を展開するディズニー&マーベルが話をして、今後のMCUにスパイダーマンを出す、と合意したからです。そして、他のヒーローとの共演を考えた際、ピーター・パーカー/スパイダーマンを若返らせる必要があり、若い俳優でリキャストしたわけです。
今回の一件では、ガン監督が、スーパーマンの若き日を描いた映画を作りたい=だから演じるのはヘンリー・カヴィルではない、と言ったとされています。要はガン監督は、今後のDCユニバース映画で登場するスーパーマンを若い設定にしておいた方が、いろいろ絡めやすいと考えたのかもしれません。
次にブランドン・ラウスの降板劇と似ているということ。ヘンリー・カヴィルのスーパーマンは本当に素晴らしいです。しかし彼がこの役に決まった時、ちょっと寂しい思いをしたことも事実です。筆者は個人的に2006年のブランドン・ラウス出演の『スーパーマン・リターンズ』が好きでした。このブランドン・ラウス版の続編も作られる予定でしたが、結果それがキャンセルとなり、キャストをリセットして新しいスーパーマン映画を作ろう、という話になりました。それがヘンリー・カヴィルの『マン・オブ・スティール』だったのです。ブランドン・ラウスのスーパーマンを観たいと思っていた人(特に赤パンツこそスーパーマンのコスチュームであるという人)にとって、ブランドン・ラウスの降板は残念でした。