寺脇康文×鈴木砂羽、さすがの阿吽の呼吸 『相棒』を盛り上げる“亀山夫婦漫才”

 警視庁のちょっと変わった刑事・右京(水谷豊)が相棒・亀山(寺脇康文)と数々の犯罪事件を解決していく様子を描く『相棒 season21』(テレビ朝日系)。14年ぶりに相棒となった亀山は、移住していたサルウィンから帰国した直後こそ、単独行動をしたり事件の容疑者になってしまったりと相棒らしいことはできなかったが、最近は右京と共に行動。ブランクを感じさせない、息ぴったりな様子を見せている。

 そんな亀山は、ストーリーの中で、美和子(鈴木砂羽)を“相棒”として、これまた息ぴったりな“夫婦漫才”を繰り広げている。亀山と美和子は学生時代からの付き合い。途中、美和子の浮気が原因で破局を迎えたり、なんだかんだで復縁したかと思えば、美和子が勤めていた帝都新聞のエジプト・カイロ支局への転勤のため、遠距離恋愛をしたりと紆余曲折があったが、晴れて夫婦となっている。快活ながらも気が強すぎる美和子に亀山が振り回されていることもあるが、特命係の仕事に邁進する亀山を時には甘やかし、時には突き放して元気づけているのも美和子だ。さらに美和子は警視庁記者クラブに在籍していたこともあり、亀山の仕事にも理解がある。

 全体を通して、重厚な作りとなっている『season21』で、箸休めのような、クスッと笑える場面のひとつとして見どころとなっている“亀山夫婦漫才”。第6話では、美和子が家庭料理「こてまり」のカウンターの中から亀山に料理を提供。「食え」と小鉢を突き出した美和子に亀山が笑いながら「ガサツ!」と応えた。その時、追いかけていた事件の関係で、お笑い芸人の話をしていたこともあり、そのやりとりテンポの良さに、女将の茉梨(森口瑤子)は「本当の夫婦漫才を見ているみたい」と話し、右京もにこやかに笑っていた。

 第8話では、レストランでディナーデートを楽しみながら、事件の鍵となるダイイングメッセージ「えつ」を夫婦で解読しようと試みる。「もし、書きかけだったら?」「ひらがなじゃなくてカタカナだったら?」とふたりで犯人と被害者になりきり、コントのように役割を交代しながら試行錯誤していた。亀山が「何やってんだ俺たちは……」ふと我に返った時、思わず声を出して笑ってしまった。この“亀山夫婦漫才”が事件の大きなヒントにもなっていなかったことを含めておもしろいところである。

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