宮下兼史鷹、『ブラックアダム』は“ゆとり世代ヒーロー”? アクションスターの条件を語る
「野生爆弾のくっきー!さんに近いタイプ」
ーードウェイン・ジョンソンといえば『スコーピオン・キング』の印象も強いですね。そういった“初期ジョンソン”についてはどうですか?
宮下:初期ジョンソン(笑)。その頃はまだ「ドウェイン・ジョンソン」という名前より、プロレスラーの方が役者として出演しているイメージだったので、そこまで注目してはいませんでした。ただ、非常に悪役としていい顔と体だなと思っていましたよ。彼を意識して映画を観るようになったのは、本当にここ数年ですよね。やはりアクションスターというものがなかなか出てこないし出てこれない今、ジョンソンみたいな愛くるしいマッチョが出演する作品は「この人さえ出ていれば観るよね」って映画になります。そんなふうに、またアクションスターが盛り上がるという意味では、「やっと出てきたか」という嬉しさがあります。
ーー確かに、マッチョにも種類があると思いますが、ジョンソンは他にはいないタイプですね。
宮下:本当にそうなんですよ。何がそうさせてるのかわからないけど……多分苦労人だからなんですよね。売れるのにすごく時間がかかったり、家族がすごいからこそのコンプレックスみたいなものもあったと思います。プロレスラーからアクションスターに転向する方も多いですが、あそこまで売れる方はなかなか出てきませんでした。一時期はジョン・シナも『ネバー・サレンダー 肉弾凶器』で売れるかなと思いきや、やはり停滞してしまった。しかし、最近は『ピースメイカー』で開花しましたね。彼らのようにプロレスラーからアクションスターになって、新たな世界で活躍を見せてくれることは、僕はすごくワクワクする現象だと思っています。
ーーお馴染みのシュワちゃんなど、アクションスターが好きな宮下さんにとって、ドウェイン・ジョンソンはどのような存在でしょう?
宮下:アクションスターの条件として、その人が出演することでその人一色の映画になるってことが僕は一番重要に思っています。そんな中で、シュワちゃんって存在は……引き合いに出し過ぎかなあ……(笑)、シュワちゃんは本当に「シュワちゃん」なんです。役名も全部「シュワちゃん」でもいけるなって思う。しかし、ジョンソンはそういう意味では「ドウェイン・ジョンソン」というより、意外に何色も色を出せる方なんですよね。だから、ただがむしゃらにアクションをやるというよりは、繊細に演技もされている感じがします。僕は最初、周りにいる芸人さんで例えるなら、ハリウッドザコシショウさんかなって思ったんですよ。どの場に行っても自力で空気をその人一色にできる、どんな現場でも変わらず自分をやれる方なので。ただ、そうやって見ていくとザコシショウさんではないんですよね。先に言ったように、ジョンソンはちゃんとその現場に寄って対応することができるので、そういう意味では野生爆弾のくっきー!さんが僕は近いんじゃないかなって思います。くっきー!さんって、ああ見えて実はすごく周りを見ていて、その番組が求めているコメントをちゃんと出せる人なんですよ。崩しもできるし、ちゃんと寄せもできる。そういう意味では、芸人界でいうジョンソンはくっきー!さんなのではないかと思います。
■公開情報
『ブラックアダム』
全国公開中
監督:ジャウマ・コレット=セラ
製作総指揮・主演:ドウェイン・ジョンソン
出演:ピアース・ブロスナン、サラ・シャヒ、ノア・センティネオ、アルディス・ホッジ、クインテッサ・スウィンデル
配給:ワーナー・ブラザース映画
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