『君の花になる』高橋文哉の「ずっとずっと最高だ」が響く あす花の“過去からの卒業式”

「辛いときほどヘラヘラしちゃうんだ、あの子……周りに嫌われたり、ガッカリされるのが怖くて」

 笑顔が「大丈夫」のサインだなんて安心してはいけない。むしろSOSが出せないからこそ、笑顔で乗り切らなければと縛られてしまうことがあるのだから。火曜ドラマ『君の花になる』(TBS系)第7話では、ついにあす花(本田翼)の過去が語られた。

 教師になるという夢を叶え、持ち前の明るさと優しさですぐに学校の人気者になったあす花。気さくに話しかけられるあす花のもとには、いつも生徒が集まってきた。また、共に働く先生たちからも日々頼みごとが舞い込んでくる。

 頼りにされている。きっとあす花にとっては充実した日々の始まりだったに違いない。けれども、いつしか部活の顧問をいくつも掛け持つことになり、挙げ句の果てには他の教師がやるべき業務まで手掛けるように。それは、はたから見れば「いいように使われている」状態だった。

 あす花が明らかにキャパオーバーを迎えていたが、妹思いの姉・優里(木南晴夏)さえも「自分でなんとかするだろう」と思っていた。きっと、ひそかにあす花を心配した先生も、そして誰よりあす花自身もそう思っていたのではないだろうか。「笑えるからまだ大丈夫」なんて、自分に暗示をかけて奮い立たせていたのかもしれない。

 しかし、そんなあす花の表面的な笑顔を見て「まだ余裕そうだ」と遠慮なく頼み事は続き、ついにはトラブルが発生。生徒の進路にまつわる保護者との行き違いが起こり、さらに答案用紙を紛失してしまう。生徒たちからは嫌われ、先生からは非難され、追い詰められたあす花は逃げるように学校を去ってしまったのだった。

 「頑張る」と「無理をする」は違う。けれど、私たちはときに頑張り方を間違えてしまう。潰れるまで背負い続けてはじめて「頑張っている」と思ってしまうことも。それは、自分にとって大事なものが掛かっているときにこそ陥りやすい罠だ。

 振り返れば「8LOOMのために」と、何から何まで自分1人で抱え込んでいた弾(高橋文哉)もそうだった。そんな弾に代わってリーダーを務めることになった宝(山下幸輝)も同じように自分を追い込んでしまっていた。その夢や今いる居場所が大切であればあるほど「自分さえ踏ん張れば」と自分を犠牲にしてまで無理をしてしまいそうになる。

 だが、無理をした結果はどうだっただろうか。グループに閉塞感が生まれたり、大事なステージを前に怪我をしてしまったりと、うまくいかなくなってしまうことのほうが多かったように思う。燃え尽きることを前提とした短期決戦ならまだしも、あす花の教師生活も8LOOMも“これから”というタイミング。継続して頑張れる方法を見つけていくこと、それが夢を叶えるために欠かせないのだ。

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