『アトムの童』物語にうねりをもたらす山﨑賢人&松下洸平 アトムに再び暗雲が立ち込める

 那由他が心ひかれたのはプロダクトへの敬意からだった。「アトムのファンだから」と話す那由他は、「最高の形でおもちゃを再開してほしい」と考えた。MFOに買収されたアトムロイドが軍事や他の目的に転用されることなく、純粋に夢を与えるものとして役立ってほしい。そのためにSAGASの買収を防ぐ必要があるなら協力しようと思ったのだ。だが、相棒の隼人は那由他の本心を見抜く。かつて自分が『ダウンウェル』の権利を取り返すためSAGASに入ったように、那由他も犠牲になるつもりではないか。そして妥協できない性格の那由他は、いったん始めれば「完成するまで何年もSAGASでゲームを作り続ける」。それはアトムの社員の思いを踏みにじり、自分たちを待つティムを裏切ることだ。那由他に反対するなら今しかなく、全力で止める以外にない。それをできるのは自分以外いないと隼人は知っていた。

 その一方で、隼人にはわかっていた。ワクワクしている那由他を止めることはできない。SAGASの豊富なリソースとアトムロイドを使えば、新しいゲームを無限に作り出すことができ、すでに那由他の頭の中は新しいアイデアが湧き出している。そうわかっていて言い出さずにいられないのは、隼人には那由他が必要で、もう二度とかつてのような思いを味わいたくないからだ。那由他もそのことに気付いている。気付いていても、どうしようもなくゲーム作りに惹かれてしまう。誰よりも互いを理解し合う2人は、同じペルソナの異なる面だ。さまざまな対立軸が織り込まれた『アトムの童』にあって、那由他と隼人のぶつかり合いが物語にうねりをもたらしてきた。今度の決裂はアトムだけでなくゲーム界の浮沈を左右しそうだ。激震を乗り越えた先にどんな未来が待っているだろうか。

■放送情報
日曜劇場『アトムの童』
TBS系にて、毎週日曜21:00~21:54放送
出演:山﨑賢人、松下洸平、岸井ゆきの、岡部大(ハナコ)、馬場徹、栁俊太郎、六角慎司、玄理、飯沼愛、戸田菜穂、皆川猿時、塚地武雅(ドランクドラゴン)、でんでん、風間杜夫、オダギリジョー
ナレーション:神田伯山
脚本:神森万里江
演出:岡本伸吾、山室大輔、大内舞子、多胡由章
プロデュース:中井芳彦、益田千愛
音楽:大間々昂
製作著作:TBS
©︎TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/atomnoko_tbs/

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