『舞いあがれ!』吉川晃司、鬼教官の秘訣は弓馬術礼法小笠原流 「愛があるゆえの厳しさ」
毎週月曜日から土曜日まで(土曜日は1週間の振り返り)放送されているNHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』。第40話より登場した吉川晃司からコメントが寄せられた。
吉川が演じるのは、航空学校帯広校の教官・大河内守。航空自衛隊の戦闘機パイロットとして活躍したが、30代半ばで地上勤務にシフトした折、航空学校からの誘いがあり教官職に就いた。学生たちからは鬼教官として恐れられ、舞(福原遥)や柏木(目黒蓮)がいる班の担当教官として、着陸が下手な舞を厳しく指導する。容赦なく学生をフェイル(退学)させると言われており、舞にはなかなか理解してもらえないが、そこには大河内なりの人生哲学がある。
吉川は本作が朝ドラ初出演。「どういう経緯でキャスティングされたのだろう?」と驚きのオファーだったことを明かす。
「“朝ドラ”の『朝の顔』に私だとちょっと暑苦しいでしょう?というか、顔はしょうゆ顔だけど、なんか圧が強いでしょう。圧がありすぎて不向きなんじゃないかなと。そうしたら、まさにその“威圧感”を求められていると。パイロットを目指す若い学生たちの前に立ちはだかる壁、妖怪でいう“ぬりかべ”のような存在でいてほしいとお話をいただき、なるほどと。私は肩幅も広いし、壁には良いかもと納得しましたね(笑)。私は実は早起きで、ふだんから朝5時には起きています。今回の“朝ドラ”の撮影では3時半か4時起きです。朝ごはんも6時台で植木の手入れは欠かさずしていますね。寝るのも早く夜10時、遅くとも11時です。ロックをやってエレキギターを弾いている以外は基本的な生活はおじいちゃんなんです(笑)」
演じる大河内については、「大河内は、訓練生に鬼教官と恐れられている男ですが、それは若者たちにしっかりした人生を歩んでもらいたいという思いがあり、愛があるゆえの厳しさみたいなことだと思います。最初にいただいたキャラクターの設定では、話す口調ももっとワイルドだったんです。でも私の方から言葉遣いや物腰をものすごく丁寧に礼儀正しい男にしたいと提案しました。口調も態度も丁寧すぎて逆に怖いという人がいるでしょう。そういう狙いですね。また、大河内は何か武道をしていた男だったんだろうと自分の中で裏設定として決めています。空を飛ぶ前は坐禅を組んで精神統一をしていたり。私自身、鎌倉幕府や江戸幕府の指南役を務めてきた『弓馬術礼法小笠原流』を数年前から学んでいまして、そうした所作を入れたりもしています。なので少し時代劇のような動きにも見えると思うんですが、それによって威圧感が増して、より怖い印象が強くなっているんじゃないでしょうか」とコメント。
鬼教官の役柄ということで、現場では生徒役の生徒たちを「笑わせている」と吉川は明かす。
「福原遥さんは、すごく芯がしっかりしていると思います。お芝居もうまいですし。(水島祐樹役の)佐野弘樹くんとは、撮影の合間に人生についていろいろ話したのですが、今の若い世代は本当にしっかりしています。飛行機を操縦するシーンでは、実際に乗りながらお芝居するのですが、学生たちはまだ操縦が下手な設定なので、本当に機体がグラグラと揺れている中で演じないといけないんです。そんな過酷な状況でもきちんと演技をしているので感心します。鬼教官の役ですが、共演者の皆さんに本当に嫌われないように、本番前のリハーサルでは、笑わせるように努力していますよ(笑)。」
最後に視聴者に向けて、「やはり空のシーンですね。ドキュメンタリーであれば、これまでアフリカやブラジル、ペルーなどいろいろな国に行きましたけど、空を飛びながら芝居をするというのは初めての経験です。他の飛行機もたくさん飛んでいて、旅客機の無線も全部入ってくる中でお芝居するのは難しいです(笑)。セリフを言おうと思ったら、旅客機のパイロットと管制とのやりとりが入ってくることもありました。実は高所恐怖症なんですが、空まで行くともう諦めています(笑)」とメッセージを送った。
■放送情報
NHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:福原遥、横山裕、高橋克典、永作博美、赤楚衛二、山下美月、目黒蓮、長濱ねる、高杉真宙、山口智充、くわばたりえ、又吉直樹、吉谷彩子、鈴木浩介、高畑淳子ほか
作:桑原亮子、嶋田うれ葉、佃良太
音楽:富貴晴美
主題歌:back number 「アイラブユー」
制作統括:熊野律時、管原浩
プロデューサー:上杉忠嗣
演出:田中正、野田雄介、小谷高義、松木健祐ほか
主なロケ予定地:東大阪市、長崎県五島市、新上五島町ほか
写真提供=NHK