『クロサギ』平野紫耀の内面を引き出す黒島結菜 時任勇気の“正義感”は後半戦のカギに?

 日本と上海、それぞれで展開した御木本(坂東彌十郎)との宿命の対決に、御木本の死をもって決着がつけられた第5話。復讐の無力さに苛まれ、死に際に聞かされた「お前の敵は俺で終わりじゃない」の言葉、そして桂木(三浦友和)との関係などいくつものわだかまりを抱えることになる黒崎(平野紫耀)。11月25日放送の『クロサギ』(TBS系)第6話からの後半戦は、より黒崎の内面に迫った物語が展開していくことだろう。それはすなわち、黒崎の人間らしい部分を引き出してくれる氷柱(黒島結菜)の存在が大きくなるということでもあるわけだ。

 御木本から騙し取り返した50億を桂木に渡すが、自分の取り分を拒否する黒崎。気を紛らわすかのように新たなシロサギの情報をもらおうと聞かされたのは、大学生を相手に闇バイトで金を稼ぐ詐欺グループ。奇しくもそれは、氷柱が大学の同級生から被害相談を受けたものであった。法の力で解決しようとする氷柱は被害者の会を設立するという弁護士に会いに行く。しかし、その弁護士も詐欺グループの一味であることが発覚。何か大きな詐欺を計画しているのだろうと様子見をしていた黒崎は、一味がマンション投資詐欺に乗り出したタイミングで罠を仕掛けるのである。

 コロナ禍で急激に増加したという“闇バイト”が今回のシロサギのフックとなる手口だ。楽して高収入が得られることなどを売りにして、SNSなどで募集したアルバイトに詐欺の片棒を担がせる。振り込め詐欺などの受け子などをやらされるというのはよく聞く話で、相手に個人情報を握られてしまい、抜けるに抜けられないとも言われている。今回のターゲットとなるシロサギは、そうした闇バイトをカモにして巨額な詐欺への資金を集め、さらに弁護士を装い、相談料と称してさらに騙し取る。金を騙し取った際にウェイウェイ言っている陽気な若者集団ではあったが、幾重にも重ねられた巧妙な手口はずいぶんと周到なものだ。

 その闇バイト詐欺に引っかかった同級生から相談された氷柱は、助教の鷹宮(時任勇気)に相談をするのだが、その鷹宮は関わった学生の情報を集めて彼らを停学処分にする。もちろん闇バイトは基本的に詐欺などの犯罪行為への加担である以上、それは致し方のない処置なのかもしれない。とはいえ法の力で彼らのことを救おうとする氷柱に対し、がっかりしたと豹変した態度を見せ、法律が守るのは善良な市民だけだと宣う鷹宮。黒崎が次なる敵であると目星をつける宝条(佐々木蔵之介)の甥である鷹宮の歪な正義感もまた、後半戦のカギとなるのだろうか。

 さて、黒崎に食事に誘われ(結局連れて行かれたのは詐欺グループが開いた不動産投資のセミナーだったわけだが)、気付かれないように嬉しそうな表情を見せた氷柱。服を選び、“好きな人ができたらつける”と言っていたイヤリングをつけるか迷い、黒崎に「希望」を持つことの大切さを黒崎に説く。さらにセミナーから逃げ出そうとした詐欺グループを捕まえるために警察に連絡し、黒崎との(それぞれのスタンスに則った)連携プレーを成立させる。こうして氷柱が黒崎の“仕事”に踏み込み、互いの“内面”を刺激しあっていくことで、比較的淡々と流れてきたこのドラマに程よい抑揚が付けられてきたと見える。

■放送情報
金曜ドラマ『クロサギ』
TBS系にて、毎週金曜22:00〜22:54放送
出演:平野紫耀(King & Prince)、黒島結菜、山本耕史、坂東彌十郎、船越英一郎(特別出演)、三浦友和
原作:黒丸、夏原武(原案)『クロサギ』シリーズ(小学館刊)
脚本:篠﨑絵里子
プロデューサー:武田梓、那須田淳
演出:田中健太、石井康晴、平野俊一
製作著作:TBS
©︎TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/kurosagi_tbs/

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