「どの立ち位置でもできる俳優でいたい」松岡広大が目指す理想の俳優像

ーードラマ『壁こじ』の公式サイトで松岡さんが「表現を生業にする人々の苦悩が詰まった作品だと思った」と書いていたのが印象的でした。

松岡：僕が演じた猫屋敷守は同人誌作家なのですが、彼の仕事って営利目的ではないんです。だから、自分たちの好きなようにやれば良いはずなのに、やはりどこかで「認められたい」「買ってもらいたい」という気持ちがあって。それってお芝居に似ているなと思ったんです。

ーーどういうところが似ていると感じたのでしょう？

松岡：芝居って快楽に近いところがあるので、基本的には好きなことをやってはいるんですけど、やはり仕事としてやるからには、高みを目指さなければならないみたいなステレオタイプもあるんですね。だから、自分のやりたいことと、世間とでどうやって折り合いをつけるかみたいな感覚がある。能動的にやっていたはずのものなのに、義務になった瞬間に心を痛めることもあって。それが猫屋敷の苦悩と似ているなと思いました。

ーー松岡さんはやりたいことと、やるべきことの折り合いをどのようにつけていますか？

松岡：避けられない運命にはある程度歩調を合わせつつ、焦らないようにしています。求められる環境があったら赴くくらいがちょうどいいなって。だから、今は目の前にあることを一生懸命やるようにしています。とはいえ、野心がないわけではなく、同世代の俳優で、なにかをやりたいなという使命感みたいなものはあります。でも、正直、どういう俳優像になりたいかは未だに毎日考え続けていて、まだまとまっていないというのが本心です。

ーー今の松岡さんのモチベーションはなんなのでしょうか？

松岡：いろんな作品に出続けることです。それで、誰かの視界の隅に僕がいるぐらいにしたいなと思っています。真ん中に据えるのではなくて「なんかいるね」と思われるくらいが、ちょうどいい距離感だなって。もちろん主演をできるのはすごいことだと思うのですが、いろんな番手で出続けること、どの立ち位置でもできる俳優でいたいなと思っています。あとは、自分が何に興味を持っているのかを自分に問いかけて、やりたいことを忠実にやれたら嬉しいです。

ーーなるほど。内省しつつ、進んでいくのが理想なんですね。

松岡：これまでも、これからも、ずっとそうですね、内省的すぎて、家で壁を見ながら考えごとをしたり、本を読んだりしていることはしょっちゅうあります（笑）。ただ、そういうのも含めて、ありとあらゆるものが自分の血肉になると思うんです。酸いも甘いも苦しいも、傷つけ、傷つけあうのも人間だなと。それを理解した上で、俳優をどうやっていくか、これからも考え続けたいなと思います。

■放送情報
『壁サー同人作家の猫屋敷くんは承認欲求をこじらせている』
ABCテレビ（関西）にて、毎週月曜深夜1:43〜放送
Rakuten TV、TVerにて配信
出演 : 松岡広大、中尾暢樹、立石俊樹、木原瑠生、小西詠斗、加治将樹、上田航平（ゾフィー）、宮下かな子、髙橋里恩、シュウペイ（ぺこぱ）、矢作穂香、斉藤陽一郎ほか
原作：ミナモトカズキ『壁サー同人作家の猫屋敷くんは承認欲求をこじらせている』（徳間書店『COMICリュウWEB』連載）
脚本：保木本真也
監督：佐藤竜憲、八十島美也子、原田健太郎
プロデューサー：稲熊洋介（楽天グループ）、山崎宏太（ABCテレビ）、宮川宗生（ホリプロ）
主題歌：まるり『星のタイヨウ』（ビクターエンタテインメント）
音楽：森優太
製作幹事：楽天グループ
制作：ABCテレビ
制作協力：ホリプロ
製作著作：ミナモトカズキ・徳間書店／2022「壁こじ」製作委員会
©︎ミナモトカズキ・徳間書店／2022「壁こじ」製作委員会
公式サイト：https://www.rakuten-ipcontent.com/kabekoji/

■書籍情報
『松岡広大 10th ANNIVERSARY BOOK-再会-』
仕様：サイズA4
価格：3,800円（税込）
発行元：株式会社アミューズ
内容：表紙＋100ページ

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＜応募締切＞
12月6日（火）