ピョン・ウソクの憂いを秘めた瞳 『20世紀のキミ』で新たな“初恋のアイコン”に

 『20世紀のキミ』は、2019年大人になったボラ(ハン・ヒョジュ)のもとに到着した、一本の古いビデオテープから始まる。そのビデオテープが私たちを1999年の甘酸っぱく切ないボラの記憶の中に導いていく。

 17歳の少女ボラ(キム・ユジョン)は、心臓手術のために渡米する親友ヨンドゥ(ノ・ユンソ)の初恋を成就させるため、愛のキューピットをすることになる。ボラが選んだ方法は、ヨンドゥの初恋相手ペク・ヒョンジン(パク・ジョンウ)の友人のウノ(ビョン・ウソク)を攻略することだったが、思いがけずウノに惹かれていく。そうして奇妙な三角関係がからまることになる。ポケベル、ビデオレンタル店、公衆電話など、アナログとデジタルが共存する20世紀末の感性が初恋の情緒と思い出を刺激し、キュンとすると同時に、漂う「青春の儚さ」に胸が苦しくなる。『二十五、二十一』に続く、大人のためのエモい青春作品だ。

『20世紀のキミ』Netflixにて配信中

 ウソクは、実年齢31歳というのが信じられないほどに、キラキラとした初恋のときめきを丁寧に描き出す。彼が微笑んだら、パッと世界が明るくなる。真っ直ぐにボラを見つめる美しい彼の瞳は、この映画の最大の胸キュンポイントだろう。一方で彼が表現する「青春」は煌めきではない。瞳の奥に哀愁と切ない感情を秘めた表現力が光る。どこか憂いを秘めた彼の笑顔から目が離せなくなってしまうはずだ。

■配信情報
『20世紀のキミ』
Netflixにて配信中
監督・脚本:パン・ウリ
出演:キム・ユジョン、ピョン・ウソク、パク・ジョンウ、ノ・ユンソ
制作:ヨンフィルム

関連記事