『アトムの童』“動”の山﨑賢人と“静”の松下洸平 見飽きない岸井ゆきのとのトリオ

 時間は敵か、それとも味方なのか? 『アトムの童』(TBS系)第3話では、那由他(山﨑賢人)と隼人(松下洸平)がゲーム開発に着手して10カ月が過ぎ、新作『ATOM WORLD』の制作も大詰めに入る。残る作業はセーブ機能や環境設定などのアウトゲームのみ。そんな矢先、やよい銀行を訪れた海(岸井ゆきの)は、支店長の小山田(皆川猿時)に手形の書き換えを断られる。1カ月以内に5千万円を返さなければ不渡りとなり、担保に入れた土地や建物は取り上げられる。そこには特許やデザインも含まれる。

 2人のジョン・ドゥがふたたびタッグを組んだ前2話に続く第3話では、主にゲーム外の事情(≒アウトゲーム)が描かれた。日曜劇場といえば融資トラブルと言っていいほど、融資に関するエピソードは定番である。銀行の融資打切りは中小企業いじめの常套手段で、2013年の『半沢直樹』(TBS系)以来、多くの主人公とその家族を窮地に追いやってきた。突然の通告の裏には、小山田と通じたSAGAS社長の興津(オダギリジョー)の存在があった。返済できなければ資産は銀行の手に落ち、売却されればSAGASに買収される。罠はあらかじめ周到に張り巡らされていた。

 海を陣頭に専務の八重樫(でんでん)や各務(塚地武雅)は取引先に融資を頼むが断られ、那由他と隼人も出資してくれそうな企業や投資家を当たることに。パブリッシャーの晶(玄理)に特訓を受け、短時間のアポなしのプレゼンであるエレベーターピッチに果敢に挑むが、成果はなく……。先が見えない状況で、那由他が思い出したのは公哉(栁俊太郎)だった。

 「あいつは俺たちのゲームに何を思ってプレゼンしてたんだろう。たった一人で、学生で、いろんな偉い人に会いに行って。あいつ、とんでもなくすげえな」(那由他)。アジアの投資家とゲーム制作者・開発会社をマッチングする「ゲーム・トゥ・マッチ」の場で、興津の質問に対する那由他の答えは、公哉の思いにヒントがあったわけだが、ネタバレになるためここでは触れない。さしあたり『アトムの童』というタイトルがゲームに魅せられた那由他たちを指していること、ゲームの作り手とゲームをプレイする人間は、ゲームに対する「好き」という感情でつながっていることを指摘するにとどめる。

 日曜劇場のお家芸といえば、融資打切りに加えて、裏切者の存在も挙げられる。第2話でもしやと思わせた鵜飼(林泰文)は、やはりというか小山田の差し金でアトム玩具に出向していた。社員たちに共感を寄せながら、家族を守るため理不尽な命令に服従する姿にサラリーマンの悲哀がにじんでいた。ほかにも敵か味方かはっきりしない晶がいて、隼人との関係を含めて、物語の中でどのような役割を担っていくか目が離せない。

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