宮下兼史鷹、『RRR』のアツい友情に興奮 “カッコ良すぎて面白い”インド映画の魅力

『バーフバリ』は奥さんとの思い出の映画

――インド映画を結構ご覧になっている印象なのですが、観始めたきっかけは?

宮下:一番最初に観たのは、なんだかんだ『RRR』のラージャマウリ監督の前作『バーフバリ 伝説誕生』『バーフバリ 王の凱旋』ですかね。それまでは、インド映画に対してそこまで興味がなかったのですが、この2作で「面白いんだな」って気付きました。周りは観ている人がいなくて話す相手もいなかったのですが、今の妻が、あの頃出会って唯一『バーフバリ』が通じた相手だったんです。やはり妻も映画好きで、それで結構盛り上がって仲良くなって……。まだ付き合いたてか付き合ってない頃ぐらいに、誕生日か何かで『バーフバリ 伝説誕生』『バーフバリ 王の凱旋』のBlu-rayを彼女にあげたことを覚えています。

――思い出の映画なんですね。

宮下:そうです、思い出の映画の1つですね。

――そういう、自分の好きなものをわかってくれることって嬉しいですよね。

宮下:インド映画って結構そういうのを確かめるポイントになるかも。まず、好きな映画として『バーフバリ』とかいくつか作品の名前を挙げて、相手も好きっていうのを確認してからその人と距離を詰めていくのはいいかもしれないですね。お互い好印象を抱けるし、そこの価値観がどうなのか、っていうのもわかりやすいですね。

――「映画好き」とひとえに言っても、いろんな人がいるので、自分と同じタイプかを見極めるのは、デートにおいて重要ですね(笑)。特にインド映画は『バーフバリ』のようなアクション映画から『きっと、うまくいく』などのヒューマンドラマまで、幅広いジャンルに通底して物語(ストーリー)が上手い印象があるので、実はいろんな人にとって観やすい作品が多いように感じます。

宮下:物語がすごくわかりやすくて、しかも二転三転するから気持ちいい。それがやはり、インド映画の面白くて良いところですよね。変に小難しくしてないから、とても観やすい。それこそ『WAR ウォー!!』という映画は、リティク・ローシャンの顔が見たくて観る作品で。あの俳優さんの顔って、あんまりこういう言い方したらあれですが……世界一面白いんですよ。カメラがめちゃめちゃカッコいい音とともに彼の顔にズームインする、それだけでも笑わせられちゃうんですよね。“カッコ良すぎて面白い”っていう領域にいるんですよ、彼は。こういうのはインド映画でしか感じたことのない面白さだし、やはりいろんな人に知ってほしい。動きのキレが人並外れている俳優さんも多いです。それこそ『WAR ウォー!!』はタイガー・シュロフも新人として出演している作品です。ローシャン演じるトップエージェントのカビール少佐が実はスパイであることが判明して、シュロフ演じる彼の元教え子・ハリード大尉が追う。今までお世話になってきた圧倒的な先輩を倒しにいくみたいな胸熱なストーリーなのですが、やはり本作も物語が二転三転するんですよ。僕は本作でシュロフも好きになりました。「うわ、とんでもない新人が出てきたな」と。

ーー新人とは思えない迫力でしたね。

宮下:そうそう、そんなふうに見えないけど結構今期待の新人らしくて。そんなシュロフの主演映画『シャウト・アウト』にも忘れられない、俺の好きなシーンがあります。予告編にも出ているシーンなので話しますが、目の前に敵が何人かかいて、それをとんでもないスピードで彼が殴っていくんですよ。そして、敵の間を通り抜けてシュロフがバンってカッコつける。すると、侍が敵を切った刀を鞘に収めて、やっと相手が切られたことに気づくシーンみたいに、後ろにいる敵全員の骨が折れていくんです。それがめちゃくちゃ面白くて(笑)。やはりああいうものを観られることが、インド映画の面白いところです。

ーー『バーフバリ』や『RRR』もそうですが、いかに人をクリエイティブな形で殺していくかみたいな部分もありますよね。

宮下:そうですね。アクション映画の良くも悪くもな部分ですが、やはり命が軽いシーンがあるんですよね。ただ、それってアクションを気持ちよく見せるという点では必要な部分になってくるし、それが観ていて不快ならあれですが、気持ちいいのであれば僕は全然ありだと思います。そういう意味では『RRR』もラストがとにかく凄い。

ーー『バーフバリ』公開時も応援上映が相次ぎ、盛り上がった印象があります。今回『RRR』公開を受けて、またインドアクション映画が注目を浴びると思いますが、改めてラージャマウリ監督作品以外に、おすすめしたい作品は?

宮下:やはり、僕の大好きな『WAR ウォー!!』です。『バーフバリ』『RRR』を楽しめた方なら、もう間違いなく楽しめる映画だと思います。アクションという点で、とてもそそられるものが多い作品なので是非観てほしいですし、「こんなにアクション動ける奴が世界にまだいるんだ!」という感動も得られます。さらにそこから、俳優さんを応援したくなっていくんですよね。リティク・ローシャンの主演作で『Bang Bang!(原題)』という作品があって、劇中歌の「トゥメリ」がSNSで結構バズったからそれだけ知っている方もいるかと思います。ただ、日本未公開なので僕は本作が公開されるか、日本字幕がついて媒体化される日を待ち望んでいるんです……。そういう動きを後押しするためにも、日本でインド映画はどんどん盛り上がってほしいなと思います。

■公開情報
『RRR』
全国公開中
監督・脚本:S・S・ラージャマウリ
原案:V・ビジャエーンドラ・プラサード
出演:N・T・ラーマ・ラオ・Jr.、ラーム・チャラン
配給:ツイン
応援:インド大使館
原題:RRR/2021年/インド/テルグ語、英語ほか/シネスコ/5.1ch/日本語字幕:藤井美佳/字幕監修:山田桂子
©︎2021 DVV ENTERTAINMENTS LLP.ALL RIGHTS RESERVED.

関連記事